ファントム最後の百里基地航空祭/地上展示etc.編

文・写真:nona


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 この記事では百里基地航空祭の地上で展示されていた品々を中心に、敷地内の広報資料館や雄飛園、お隣の茨城空港の様子など紹介いたします。
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第301飛行隊が使用する格納庫にてサバイバルキットが展示されていました。

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酸素発生装置や無線機など、民間人には縁遠い品々の中、「リップクリーム(市販品)」の存在は目を引きます。

これは夏季に長時間漂流した際の肌荒れを防ぐため、唇のみならず首回りや顔にも塗布するものだと言います。日常の生活では肌用のクリームとリップクリームは別個にしていますが、サバイバルキットとしては一つにまとめたほうが合理的かもしれません。

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F-4が着陸時の減速に用いるドラッグシュート。保育園のお遊戯で使うパラバルーンを思い出します。

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ASM-1(80式空対艦誘導弾)の模擬弾。(実用化に至ったものとしては)日本最初の対艦ミサイルです。F-4EJ改は2発の対艦ミサイルを搭載できるものの、代わりに短射程AAMを搭載できくなる、という欠点があるようです。

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AIM-7Mスパローの模擬弾。米軍で運用が開始されたのが1982年でASM-1と同様に古い設計のミサイルです。ただ、前期生産型のF-15Jなどで今後10年くらいは使用されるのだろうと思います。

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AAM-3(90式空対空誘導弾)の模擬弾。動翼が特徴的です。

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第301飛行隊プラモデル同好会の作品展示。

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"砂ぼこりのようなウェザリングを実施"

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"タンクのウェザリングをがんばりました"

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"ウェザリングをよくみてね"

ウェザリングはプラモデルの仕上げに意図的に汚れを施し、質感を実物に似せる技法のことですが、下手をすると単に薄汚くなる危険もはらんでいるとか。

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そういえば「技MIX」と入力するとき「ワザミックス」と打ち込んでいたのですが、読み方は「ギミックス」だと今更気づきました。

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"こんなの見てないでエプロンにあるホンモノを見に行きましょう。"


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「ホンモノ」はこちら。昨年の航空祭で展示飛行を実施した302飛行隊のスペシャルマーキング機です。

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一見華やかな塗装ですが、赤い羽根が散っていく様には儚さも感じられます。

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昨年の航空祭ではフライトしていますが、今年は地上展示のみでした。

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ところで百里基地には広報資料館があるのですが、航空祭の当日は残念ながら閉館していましたので、代わりに2019年8月に一般公開された時の様子を、展示品の一部を抜粋して紹介いたします。

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広報資料館1階はパネルの展示が中心となっており、基地の沿革と所属部隊の業務が紹介されています。

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過去の航空祭で用いられた「観覧車」の歴史が紹介されています。

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今年の航空祭では4・5代目の観覧車を確認できました。ただ、5代目はキャノピーの形状がF-22に寄っていて、F-35には似ていません。

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航法資料館の1階奥にバルカン砲が鎮座しています。F-4に搭載されていたJM61A1だそうです。

F-4シリーズはもともと機関砲を搭載しておらず、F-4Eにて機首を延長しM61のドラム弾倉を収納し、機首下にM61砲本体を突出させる、という魔改造が施されました。

 

この配置では射撃時の振動を抑え込めず、集弾性が低下する欠点がありましたが、元ファントムライダーの村田博生氏によると、射撃訓練における同機のトップスコアは100発中81発命中とのこと。さほど深刻な問題ではなかったようです。


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広報館の2階にF-4EJ改のコックピットが展示されています。

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自身もパイロットであった織田邦男元空将は、F-4EJ改に施されたコックピット改修について「後席が人事不省に陥っても、前席だけでファイトできる」という点を評価していました。

F-4には2名が協力して戦えるのが強みだ」と言われることもある一方、不意の機動などで後席搭乗員がエアーシックに陥ることも珍しくなかったようです。


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他方、HOTAS概念が組み込まれた新型のスティックとスロットルの扱いには難儀されたそうで、F-4EJ改の配備から間もない時期のACM大会で40代近いベテランがHOTASをうまく扱えず、一番若いパイロットに優勝を許した、というエピソードもあるとか。

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航法資料館のF-4コックピットにはエンジンスロットルがなかったり、後席がなかったりと省略も多いのが残念ですが、機外のスプリッターベーンには、なぜか実物が設置されています。

スプリッターベーンとはF-4のエアインテイクと機体側の間にある仕切り板です。無数の小穴と可動式ベーンにより、広い速度域でエンジンが性能を発揮できる、とのこと。

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ちなみに第301飛行隊プラモデル同好会員の作品が「広報館展示用プラモデル」として、専用ケースに収められていました。

この他F-104J関連の品として(ややこしい型番ですが)NASARR F15Jが展示されています。

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広報館の隣は「雄飛園」があり、慰霊碑や記念碑、歴代の空自機が展示されています。

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F-1戦闘機

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T-2練習機

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F-86D戦闘機

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F-86F戦闘機

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T-33練習機

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F-104J戦闘機だけは雄飛園から少し離れた場所にあり、台座に乗っていました。

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百里基地の反対側には2010年に開港した茨城空港が見えます。

空港ターミナルの展望デッキには機密保持の観点から曇りガラス(?)が並べてある、と話には聞いていましたが、実際のところ仕切り版は透明に見えます。


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そもそも、百里基地の周辺には「自衛隊は〇〇〇〇」との看板が掲げられた丘や、

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誘導路を「く」の字に曲げた原因である某平和公園から駐機場が丸見えなので、空港にだけ配慮を求める意味があったのかは不明です。

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実際に空港まで行ってみましたが、大した障害もなく基地内を撮影できるようになっていました。(写真の掲載はしません)

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ただし、柵のすぐそばを装甲車が巡回しています。

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この日は空自F-15Jや、民間のボーイング737が撮影できました。

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空港内の売店で、百里基地や空自関係の土産物も販売されています。

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ところで、茨城空港では某アニメ作品のラッピングが見受けられます。

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そのうち茨城空港は「茨城ガールズアンドパンツァー空港」に改名される日が来るかもしれません。

まあ、「鳥取砂丘コナン空港」のインパクトを超えるものではなさそうですが。