北宇都宮駐屯地開設46周年記念行事

文・写真:nona


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 2019
616日に開催された北宇都宮駐屯地開設46周年記念行事を見学して参りました。

 

 北宇都宮駐屯地は栃木県宇都宮市に所在する陸上自衛隊の駐屯地です。北宇都宮とはいいますが、立地としては県庁や市役所の南側に位置します。この呼称は宇都宮駐屯地との兼ね合いでしょうか。

 

 地方の駐屯地ではよくあることなのか、敷地内に一般来場者用の駐車場も用意されています。ただし、昼頃には出入口の付近で渋滞があったので、できるだけ早めに来場したほうがよさそうです。

(帰りに寄った餃子専門店のほうが混んでいましたが)

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 北宇都宮駐屯地には1700mの滑走路があるものの、配備されている機体はUH-60JAUH-1JTH-480Bなどヘリコプターのみ。2012年に見学した際はC-1YS-11などの比較的大きな外来機も展示されていましたが、今年は軽飛行機だけでした。

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 UH-60JA。同隊の本部は群馬にありますが、UH-60JAの飛行隊は北宇都宮駐屯地にあります。


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 航空学校の教材として使用されているUH-1J


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 同じく航空学校で使用されるTH-480B。同機は教育用に使用されていたOH-6Dの後継機として20102月に導入が決定し、2015年までに30機が調達されました。

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 選定時の対抗機として、シュワイザー333MMD500EOH-6の民間向け発展型)が提案されていたようですが、

 

 防衛省では前者を「必須項目を満たさない項目があったため」として、後者は「入札価格が予定価格を超過していたため」評価の対象外としています。なお、TH-480 Bの値段は最初の1機の場合で2882万円(税抜)だそうです。民間の同型機よりも高いかもしれません。

 

 選定の経緯について、防衛省は20102月に報道資料を公開しています。(https://www.mod.go.jp/j/press/news/2010/02/10b.html


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 ちなみに、選定を漏れたシュワイザー333Mの由来をたどると、かつて陸自で使用されていたTH-55Jに行きつく、らしいです。


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 MD500Eについても、元は民間向けのOH-6を発展させた機体です。


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 富士ベル205B。北宇都宮駐屯地に隣接してSUBARU宇都宮製作所が置かれており、自衛隊機に限らず、国内で用いられるヘリコプターの製造や整備が実施されています。UH-1の後継機とされるXUH-2もここで製造されました。


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 こちらは富士 FA-200 エアロスバル。1965年に初飛行した民間向けの軽飛行機で、この機体は栃木県航空協会レッドスバルが保有しています。


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 ロゴマークは旧ロゴと新ロゴの双方が使用されています。


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 2017年に社名をSUBARUに改めた富士重工ですが、当初は中島飛行機という社名で大戦中に宇都宮に工場を建設し、陸軍の四式戦闘機を生産していました。これが宇都宮駐屯地の起源であるそうです。


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 UH-1Jによる展示飛行。


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 UH-1J その2

 
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 UH-1J その3


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 UH-60JAによる展示飛行。


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 UH-60JA その2


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 UH-60JA その3。この角度からは水生昆虫のタイコウチにみえる。


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 UH-60JA その4


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 AH-1Sによるによる展示飛行。


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 AH-1S。その2


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 AH-1S。その3


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 AH-1Sその4


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 そういえば、この間入手した「ソ連地上軍兵器と戦術の全て」という本に、かつてヘリコプターの天敵とされたソ連の自走対空機関砲ZSU-23-4との戦闘について言及されていました。

 

 もしAH-123mm機関砲弾の40発斉射を距離500mで浴びた場合、ホバリング・移動中にかかわらず80%の確率で撃破されるそうです。2斉射をうければ96%の確率で撃破です。

 

 ただし、機関砲の命中率は射距離が伸びるにつれて落ちていき、距離3000mではホバリング中でも15%程度の撃破率に低下。TOW対戦車ミサイルの最大有効射程ではまず当たらないようです。

 

 よって、アウトレンジ戦法が可能になるのですが、ZSU-23-4を遠距離から発見できない状況では、うかつに近づいてしまい、至近距離から突然撃たれる危険がありました。

 

 その場合はAH-1編隊の1機が囮となってレーダー照射を引き受けZSU-23-4の居場所をつき止め、僚機が側面を突くことで対処できる、と言われていたそうです。

 

 ただ、この本が書いているのは1980年代前半の軍事情勢なので、現在でも通用するかは不明です。


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 栃木県警航空隊のヘリコプター「なんたい」。機体は川崎重工製のBK117です。

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 今回の展示では、遭難者の捜索と隊員によるホイスト降下を披露しました。


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 降下した隊員は遭難者を介抱、


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 続いて進出してきた陸自のUH-1が、


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 ホイストで遭難者をつり上げ機内に収容します。


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 最後にUH-1は遭難者を平地へ降ろし、


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 待機していた救急車に移動させる、という連携プレーを披露しています。


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 航空学校のヘリコプターアクロバットチーム「ブルーホーネット」。パイロットは航空学校の教官で、記念行事のために臨時で編成されるチームであることから、北宇都宮駐屯地以外で展示飛行は実施されないそうです。


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 こちらは、駐機場で展示されていた民間のRCブルーサンダー。


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 同じく駐屯地の片隅にひっそりと展示されている、空自のブルーインパルス仕様のF-86F


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 2014年まではOH-6Dを使用しており、チーム名もスカイホーネットと称していました。


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 ブルーホーネット所属のTH-480B による展示飛行。


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 TH-480B その2


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 TH-480B その3。前任のOH-6Dは「たまご型」の胴体ですが、こちらはオタマジャクシのような姿です。


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 TH-480B その4


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 TH-480B その5


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TH-480B その6


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 以下はブルーホーネットによる編隊飛行。


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 そういえば、今回もAH-64DOH-1は見ることができませんでしたが、OH-1については2019年の3月にタービンの改修をうけて3年ぶりに飛行が再開されたらしいので、目にする機会も増えるかもしれません。