江畑謙介氏の著書に見る、自衛隊の未来像とは
文:ミラー ツイッター
昨今、自衛隊では護衛艦「いずも」への航空機運用能力付与や、陸上自衛隊の水陸両用戦能力強化と重装備削減、航空自衛隊の長距離投射能力強化が行われつつあります。
実はこれらの動きを2001年から2008年にかけて何度も著書に記してきた専門家が日本にはいます。
卓越した専門的見解により日本の防衛を指摘してきた江畑謙介先生です。
惜しくも2009年に病による呼吸不全で亡くなられてしまいましたが、その書き記してこられた安全保障に関する世界図は今まさに現実となりつつあります。
中国が空母を保有し、日本が世界へのプレゼンス能力を求められるなか、国家安全保障会議(NCS)が行おうとしている自衛隊の改革は、彼の著書に多くのヒントが含まれます。
今回は、陸海空に分けて江畑氏が指摘してきた問題と、新しい防衛大綱との関連性をみていきます。
1、海上自衛隊に於ける改革
昨今、韓国海軍によるレーダー照射事件などで話題の海上自衛隊は、新しい時代へ向けて装備面の改革が注目されています。
特に大きな変革として、ヘリ搭載型護衛艦の「いずも」への固定翼戦闘機搭載が検討される事でしょう。
おそらくはF-35B垂直離着陸戦闘機を搭載可能とすることで決定と言えますが、これは政府からの発表もあるように、航空自衛隊の所属として、離島などに展開すると共に、護衛艦を中継拠点として航空戦力の離島等への遠隔地への投射を実現するとしています。
なぜその必要があるかは、航空自衛隊の項目で解説するとして、空母として運用可能な艦艇を保有することになったのか、江畑氏の著書からひも解いてみます。
江畑氏は晩年に書かれた著書「日本の防衛」や「日本に足りない軍事力」にて多目的艦が日本には必要と主張してきました。
その理由は大きく分けて以下の二つになります。
1、災害派遣・人道支援に於ける洋上活動拠点。
2、国際環境下でのパワープロジェクション能力の確立。
特に、今回の場合は後者の役割を大きく着目される点です。
江畑氏は日本には国際的なパワープロジェクションを行う能力が不足しており、冷戦以後の世界にて日本の国際的地位確立は必須と考えていました。
その為には、補給艦の増強や空中給油機の増勢といった展開能力の強化が必要です。
しかし、彼は兵站面の強化だけでは周辺諸国の理解による前方展開基地が必要となり不十分と考えていました。
理由としては、中国の南沙諸島に於ける強引な権益確保を思い出していただくと分かり易いと思います。
つまり、日本自らが独力で展開する能力をある程度もたなければ、周辺諸国の同意を得ることが難しいと考えたのです。
その展開戦力には話題となっている航空戦力だけでなく、後程説明する陸上自衛隊の水陸両用戦力も含まれています。
江畑氏が主張しているのは、空母ではなくて多用途に用いられる揚陸母艦といった方がよいでしょう。
改修予定の「いずも」型には、ヘリ同時離発着運用能力のほかに、車両運搬能力と医療設備などの大規模災害対処能力を有しており、航空戦力の運用能力も身に着ければ理想的なパワープロジェクション能力を保有すると考えられます。
但し、本格的な航空作戦を行う為には、英国のクイーンエリザベス級なみの大型艦になる必要があると指摘しており、あくまで周辺諸国と連携した遠隔地への影響力拡充の為の装備と考えています。
航空機の所属に関しても海空軍の区分を気にするより、陸上基地などからも運用可能であるという柔軟性に則り、自由にすべきと言っているのも、F-35Bの空自配属を示唆するものでした。
何故、空自だけでは達成出来ないのかは、先に書いた周辺諸国の同意というポイントがありますが、得られる場合や国内で利用可能な拠点がある場合の対策は後述します。
海自単独で言うならば、災害時などにも活躍している機動施設隊という部隊があります。
彼らの有事における任務は、被害を受けた航空基地の機能回復です。
しかし、彼らが如何に能力を持っていても、展開先の協力が得られなかったり、敵が自由な頻度で攻撃可能な範囲に基地を設営するといった作業はとても出来ないでしょう。
もし、それを可能にするならば政治的な折衝に加え、施設隊を護衛する地上部隊と、彼らに補給を行う海上部隊の二つが必要となり、条件が厳しくなるのは明白だからです。
また、近海に於ける出来事に関してどのような視点を持っていたのでしょうか。
これに関しては、不審船対策問題と汎用護衛艦の大型化・高額化という問題に対して、比較的廉価で非対称戦に適応可能な艦艇の確保を検討すべきと考えていました。
現在のFFM(多機能護衛艦)計画はこれに合致するといえます。(廉価であることや、不審船対策のリモート火器の搭載等)
一方で、海自が専門の掃海部隊を保有していたことを高く評価しており、海運に依存する日本が機雷による海路閉鎖に対して強い危機感を持って当たる事は良いこととしていました。(技術的な進歩のなさも指摘してますが)
今回のFFMは掃海艦艇の後継となる事も考えられており、ここは予測から離れていくのではないかと考えられます。
また、江畑氏は海自の遠方展開能力向上の為に、補給艦増勢が必要とされていました。
現在、比較的小型の給油艦が新たに配備される予定になっていますが、これは緊張が高まる南西諸島方面に艦艇を長期展開可能にする為の処置と考えられます。
同時に、従来の大型補給艦は自由に行動が出来るようになったともいえるので、江畑氏の主張は間接的に達成されると考えられます。
ここまで見ていくと江畑氏の見解はおおよそ現状の展開を予見していたと考えられます。
それどころか、潜水艦に関してTwitter上にて世界の艦船に記載された記事を紹介して、「日本のそうりゅう型潜水艦が探知される傾向があるという噂がある」と書かれただけで批判を受けた事例があるが、江畑氏は著書で過去の似た事例を引き出し「自国の技術を自画自賛しがちになるのは気を付けなければならない」と書いていたのは、個人的に特筆すべきポイントだと考えています。
10年前に書かれた戒めが現在も活かされていないととれるからです。
2、陸上自衛隊に於ける改革
陸上自衛隊に関しては、特に江畑氏も改革が必要と考えていた項目になると著書を読んでいると感じます。
特に離島防衛に関しては幾度も著書で取り上げており、陸上自衛隊の揚陸展開能力の必要性が伺えます。
ただ、現在と違うのは重視されているのが敵前揚陸能力ではなく、ヘリなどを用いた展開能力だと伺える点です。
もちろん、揚陸艦艇も人道支援・災害対処任務の為に必要としており、重装備の輸送を軽視しているわけではありません。
重装備に関しては、軽量で空輸可能なものを配備すべきとしていますが、これは運用上自然なことでしょう。
例えば、155mmりゅう弾砲に関しては、装輪式を含む自走化が進む一方で同口径の軽量型の配備を進めるべきとしてきました。
技術研究本部では軽量型の試作火砲が開発されると共に、かつての105mmりゅう弾砲より高性能な120mm重迫撃砲の配備が進んでいる事は評価すべきポイントです。
ただ、通常の普通科部隊なども重迫撃砲の火力に依存し、方面単位での重砲火力が大きく減っている事も考慮する必要があります。
そして離島防衛能力の強化に伴う展開能力向上は、前述のパワープロダクション能力にも繋がっていきます。
折しも、10年前は自衛隊のイラク派遣が終わり、教訓として自衛官の生命保護の少なさを江畑氏は指摘すると共に、重装備の展開能力不足を批判していました。
もし自衛隊が充分な装備を運んで抑止力を発揮できる状態にあるならば、より大きな役割をイラクで果たせたのではないかということです。
結果的に部隊が地元住民と協同関係を築き上げるというソフト面の対策がうまくいったから良かったものの、もしもがあったらどうしたのかという批判は最もだと思います。
同時に他国の部隊に守られながら活動していたという側面もあり、江畑氏が主張されることが現在も課題として残っていると感じる次第です。
一方で、本土防衛に関しては着上陸対処より市街地戦を重視すべきとしています。
これも実際に上陸が起こる環境下で重装備が大量に生き残れるとは思えないという現実的な問題に生起しています。
そこでは重装備が軽視されている訳ではなく、市街地戦を制する為には主力戦車や重装甲な戦闘車両が必要というイラク戦争などの戦訓を踏まえているのが江畑氏らしい批評です。
ただ、人口問題による部隊数の不足や部隊の機動による反攻作戦の実施といった点に関しては、現在防衛大綱で定められている統合的動的防衛力は江畑氏より進んだものだと考えられます。
少ない部隊を機動させ、「虎の子」となる重装備部隊を温存すると共に、反攻時の重大局面で投入できるようにしようという考え方は、今後の陸自の在り方に影響を深く及ぼしていくと考えています。
特に野戦能力の再確保は中国軍の進歩やPKOなどの海外派遣増加に伴い必要性を高めていることもあり、一時期市街地戦一辺倒だった時期から脱却した事は江畑氏の想定を超えた発達としても良いのではと思います。
では、より細かい点をみていきましょう。
度々自分が問題視する戦闘ヘリの問題です。
江畑氏は陸自に関しても人道支援や災害派遣の重要性を忘れてはいません。
ヘリに関しては特に厳しい目線を当てており、戦闘ヘリが戦場で生き残る為に現在の高性能・高価格なものになっているという現実も認めつつ、日本の国情に合わせて汎用的に使用可能なものを採用すべきと主張をしています。
つまりは、平時は武装を取り外して物資輸送を行い、有事には重火器を装備して戦うUH-60の武装型などを推薦しているわけです。(一方でAH-1Zでよかったのではという記述も残っています。)
現在、AH-Xはまだまだ策定中であり、どうなるか分かりませんが、江畑氏の言われる平時の利用も無視できるものではありません。
ただ、これを言い始めると戦車や火砲といった戦闘に特化した装備は存在価値があやふやになっていくので、程度の問題と考えるところでもあります。
江畑氏がなぜ、戦場での生存性が下がっても武装ヘリでもよいと考えるべきと主張したかというと、航空機がそもそも脆弱な存在であるという前提があるように見受けられます。
そこで非対称戦用としてUAVを推薦しているのですが、これは将来的に電子戦が苛烈になっていくなかで、個人的には不安が残る選択と思っています。
陸上自衛隊の中でも一番の躍進は、陸上総隊の創設による組織改編でした。
これは江畑氏の著書でも指摘が少ない箇所でしたが、その理由はここまで大きな変革が起こるとは思えなかったとうこともあるかもしれません。
この改善により陸上自衛隊も航空総隊を持つ空自や自衛艦隊司令部を持つ海自と同じ、各所を統括する司令部を持ち、統合的な調整や作戦展開が出来るようになったのは非常に大きいです。
もう一つ陸自には大きな変化がありました。
江畑氏も何度か取り上げて重視していた弾道ミサイル防衛への参入です。
イージス・アショアの陸上自衛隊への配備による、弾道ミサイル防衛は陸自の立ち位置を高めることになったのは間違いないでしょう。
また、島嶼部への長距離打撃能力となる高速滑空飛翔体や地対艦ミサイル連隊の海自部隊とのリンク機能確保といった長距離打撃能力の拡充や火力誘導員の養成といった項目も江畑氏は指摘していたものでしたが、達成しつつあります。
長距離打撃能力は当時議論されていた敵地攻撃能力でも重要な要素であり、今回島嶼防衛時の支援火力の確立として、またA2AD戦略の実行能力確保という形で実現しつつあるでしょう
3、航空自衛隊に於ける改革
航空自衛隊は、近年最も理想的な変革を遂げつつある組織と言えます。
江畑氏が指摘していた項目に関して最も期待以上の成果を出しているからです。
これは一重に米軍の影響を直接受けやすい組織の歴史もあると思います。
江畑氏が取り上げて実現したの下記の要素です。
1、長距離打撃能力・対地精密攻撃能力の確保(JASSM導入検討等)
2、早期警戒機の増強(E-2D導入と増強)
3、空中給油機の増強と輸送等への柔軟な運用(KC-46A調達)
4、的確な戦闘機の選定(F-35A・B導入)
5、無人偵察機の導入(RQ-4B導入)
この中で大きく変化したのは、対地精密攻撃能力でしょう。
誘導爆弾であるJDAMの導入から一気に長距離対地誘導ミサイルの選定に入るとは誰が10年前に思っていたでしょうか。
そして、江畑氏の予想を超える成果として戦闘機にF-35AとBを導入する事になった点があげられます。
当初はF-22しか選択にないと言ってはいたものの、現実的な選択としてF/A-18Fもいいのではと江畑氏は考えていました。
一方で上記のパワープロダクションや離島などの小規模空港の利用を可能とするために、F-35Bも視野に含めていたのです。
そして、空自は我慢の末にF-35Aを習得し、世界でも有数の能力を持つステルス戦闘機を運用する能力を入手すると共に、B型の導入も進む事となりました。
一番のメリットはMRO&U(Maintenance Repair Overhaul and Upgrade)という国際整備拠点を日本国内に勧誘し、段階的なアップグレードや高度な整備を可能とした点です。
これにより、ネットワークを介した国際的な整備流通網とシステムの導入も行うこととなり、空自の兵站能力が飛躍的に向上することになりました。
江畑氏もここまで進歩するとは考えていなかったでしょう。
そして空中給油機と早期警戒機の増強が垂直離着陸が可能なF-35Bと加わる事により、先に挙げていたパワープロダクション能力にて周辺諸国の協力が得られる場合や、離島防衛に使える地方空港などへ展開するケースがより柔軟に行えるようになりました。
まず、長距離へ航空戦力を派遣するには、遠方へと戦闘機を飛翔させる必要がありますが、単独では外部燃料タンクを満載しないと飛べない距離まで展開するのは、戦闘が想定されるなかでは難しいでしょう。
そこで、空中給油機を用いて遠方へと武装した状態の戦闘機を飛ばすことが出来ます。
加えて空中給油機の輸送スペースを活用して基地運営要員を運べば、C-2輸送機などに資材を満載して地方空港などへ展開させることも可能です。
空中給油機は遠隔地に於ける空中哨戒の時間延長にも貢献します。
F-35Bはこれらの支援を受けながら、通常の戦闘機では運用が難しい小規模な空港へも展開する可能性があります。
ただ、本来の空自基地と比較して整備面の不安があります。加えて前線に近すぎるが故に、退避する必要性が発生する可能性もあります。(小さい空港には隠れる場所も確保しづらい)
そこで、「いずも」を改装した多目的運用母艦に収容させ、整備支援を受けたり一次的避難や中継に用いられる事が想定されています。
陸上基地と連接して一度に出撃可能な作戦機を増やすために艦上から出撃する事もあるでしょう。
一度に投入可能な作戦機の数は多いほど良いですし、空中給油が前提の長距離進出・哨戒はパイロットにかかる負担も大きく、近くに着艦可能な母艦が存在するのはメリットになります。
ここからは江畑氏の著書から少し離れてしまいますが、中国軍も80年代の台湾侵攻プランの模索をする中で、台湾を東側から圧迫し、第一・二列島線まで進出する米軍来援に対する牽制として空母を配備する計画を打ち立て、現代の空母保有へと繋がる流れがあります。
これは中国沿岸地域に展開する作戦機だけでは、台湾上空の航空優勢を維持し、航空支援を絶え間なく送ることが難しいという点からも来ています。
同じ問題は日本の南西諸島問題にも言えることで、九州方面の航空戦力は必要な時に南西諸島上空に居られない可能性があるのです。
例えば、中国空軍機が九州方面へ牽制を行ったり、数の優勢を用いて攻撃隊を二波に分けて南西諸島へ進出させた場合、日本側は一時的に九州からの空自部隊来援で対抗できても、ひとたび交戦すれば次の作戦機は帰還時の奇襲攻撃を受けるリスクを冒して沖縄の那覇基地へ降ろして補給するか、九州まで帰還させる必要があります。
その間隙を突かれて中国空軍第二波が飛来したり、中国海軍空母の航空隊が飛来すれば航空優勢はたちまち奪取されてしまいます。
それに対して、日本側は事前に数波の航空隊を用意して、逐次空中給油機の支援を受けながら飛ばすことも可能ですが、それは南西諸島到達までに空中を飛び続ける事となり、中国側にどれだけの戦力があるのか察知されやすくなるという事でもあります。
離島の小規模空港や海上を遊弋する多目的運用母艦にF-35Bが展開すれば攻撃を受けるリスクを分散させつつ、進出距離と時間を短くして対処する事が出来るようになるのです。また、南西諸島へ展開可能な基地や空港が絞られるなかで、沖縄以東の海域に戦闘機の運用拠点を作れるというメリットもあります。
早期警戒機も新たに配備されるE-2DにCEC(共同交戦能力)が付加されることが決まっており、海自の新型イージス艦「まや」型との連携した防空支援が見込まれます。
無人偵察機の導入も進む予定で、これにより長時間・長距離の監視偵察能力の確保が出来る事は、陸海空の統合作戦能力向上へ大きな進歩をもたらすでしょう。
航空自衛隊は、最も戦力の統合化という目標へ向けて進んでいる組織で、今後も先進技術導入へと動きを加速させていくと考えられます。
4、宇宙・サイバー戦に於ける改革
最後に、江畑氏も気にしていた宇宙・サイバー戦能力に関してみてみます。
2018年に自衛隊はこの分野で大きな動きを見せました。
一つはサイバー戦部隊の創設、陸自電子戦部隊の増強。
もう一つは情報収集衛星の活用と準天頂衛星システム「みちびき」による測位能力増強、そして宇宙部隊の創設検討です。
前者に関しては、2018年の富士総合火力演習でも示されたように、現代戦に於いて電子戦による通信妨害やC4IRSの不通は致命的な事に繋がる為、早急に増強が進められている分野です。
加えて、中国側は三戦思想に基づく世論・心理・法規への攻撃をインターネットなどを介して、直接市民生活や国家機関へ行う可能性がある為、それらに対応するサイバー防衛隊の新設も進められます。
これらは江畑氏が指摘していた懸念事項への回答になるでしょう。
サイバー戦に関しては日米安全保障条約第5条の適用対象とすることも検討されており、より注目される分野となりそうです。(共同通信社「サイバー攻撃に日米安保5条適用明文化検討」2019/1/4 19:22
https://this.kiji.is/453866281931539553)
後者に関しては、新たに検討される宇宙部隊の任務として不審な衛星を監視したりスペースデブリから自国の衛星を守る事が検討されているといいます。
しかし、より重要な内容として情報収集衛星の画像・レーダー情報解析を内閣府の内閣情報会議に所属する分析チームだけでなく、彼らも分析に加わるのではないかと考えられます。
これは江畑氏が気にしていた偵察衛星情報の活用へと繋がるとともに、多くのマンパワーを割くことで、衛星の情報をより詳細・迅速に活用し、災害対策などでも大きな成果を上げられると考えられます。
「みちびき」による測位能力強化も、江畑氏が懸念していたGPSに頼り切りだった状況を打開する方法として、自衛隊の作戦能力向上に寄与すると共に、宇宙部隊が能力の維持向上を行っていくと考えられます。
さて、ここまで駆け足で書いてしまったので説明不足の項目もあるでしょう。
コメント欄で随時回答もできればと思いますので、何卒お願いいたします。
また、この場をお借りして管理人様へ感謝のお礼を述べさせて頂きます。
今年も皆さまに良い年となりますように!
参考文献
人民解放軍―党と国家戦略を支える230万人の実力 竹内純一
日本に足りない軍事力 江畑謙介
日本の防衛戦略 自衛隊の新たな任務と装備 江畑謙介
日本の軍事システム 江畑謙介
武力戦の諸相 佐久間一
図説自衛隊の有事作戦と新兵器 河津幸英
図説自衛隊の国土防衛力 河津幸英
航空自衛隊「装備」のすべて 赤塚 聡
陸上自衛隊「装備」のすべて 毒島 刀也
海上自衛隊「装備」のすべて 毒島 刀也
他
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コメント
生きていたら、今の状況にどんなコメントするだろうかなあ?
それにしても、今でも生き返ってくれないかなあと思うことがあるワニ。
湾岸戦争時に報道番組に出ずっぱりで一度にメジャーになった人。これで名前が売れてミリオタの女性と結婚した。ジェーンの日本特派員?だったかしら。
力作の投稿の中身には関係ないことで申し訳ない。
20年近く前に、拓殖大学のオープンカレッジで江畑先生の講座を受講しました。「私は一介の軍事評論家で、佐瀬昌守先生や森本敏先生のようなことはしゃべれない」といったニュアンスが感じられて、ナントも謙虚な人だと思いました(同じ軍事評論家の小川某は自慢たらたらで、いかに自分が公職に就いているか、どの会合に出席したとか、余りにくだらなくて、最前列ど真ん中に座っていたけど途中で退席した。まあ、格が違い過ぎたんだけど)。
最後に申し訳程度に。
陸上総隊に対応する組織として海自の護衛艦隊を挙げておられますが、正しくは自衛艦隊です。
ゴメンなさい。
さすがに情報は古いけど、秘密保護法の必要性に触れたり、中国の空母保有の可能性を予言していたりと、先見の明がある人がいたんだなと感動した。
それでいてあーしろこーしろと言わないで、あくまで国民の判断の元となる情報を提供するスタンスだった所も良かった。
宇宙は専門外なのかロケットの説明は、訳語とかがちょっと微妙でした。
あくまで軍事の専門家としての意見なので、問題はないですけど。
取り急ぎ誤字や誤りの訂正を優先致しますので、コメント返答は今しばらくお待ちください。
>>5
早速のコメントありがとうございます。
江畑先生の講義羨ましい。
自分は大学に入った頃には、江畑先生の体調が悪くなっており、拝聴叶いませんでした。
そして、誤りご指摘ありがとうございます!
早速管理人様へ連絡し、訂正致します。
タンカーのことでしょうか?
その分AOEを作戦海域に出せるってことでしょ
外国人旅行客が取り残されたり死亡したりすると関係各国が中国総叩きの流れ
同様に民間共用の那覇基地も
領土問題は基本的に当事国間の問題なので、紛争が起きても他国は関与しにくい
なので日本政府は尖閣も安保対象とアメリカに言わせる事に努力してきた
アメリカが領土紛争に介入しなくても、出撃してくる本土基地を攻撃したら、確実に安保発動
中国側がアメリカの介入を嫌うなら、陸上基地は安全
それは逆に言えば日本は民間人や外国人を盾にして軍事行動をする卑怯な奴らともとれるし、管制塔やハンガーのような観光客が絶対いない所が攻撃されない理由にはならないかと。
日米安保適用を米国が明言した以上、中国からしたら米軍の介入も織り込んでやると考えます。そうなる場合一定以上のエスカレーションを阻止する動きが双方で起きるので戦線が拡がる可能性は無くなるにせよ、戦線の内部にグリーンゾーンができて陸上基地が安全になるという事は逆に考えにくいと思います。
本当に可能性がないなら、那覇基地に防爆バンカーがある必要もなく、そもそも那覇基地は存在させずに嘉手納基地に統合させれば良いわけですから。もっと悪いなケースはエスカレーションを引き起こして全国規模で戦線が拡がるという可能性がある以上どこが安全だという確約は不可能でしょう。
江畑氏が問題提起されていた複数の分野が、新大綱には一応は網羅されていた訳ですが、
(その事でこの記事執筆のインスピレーションを得られたのでしょうね)
書かれていた内容がお題目で終わらない様に、ちゃんと実体化、実戦力化されるかどうかまで、
中長期に亘ってしっかりウォッチしないといけませんね
羨ましがらせついでに…
拓大のオープンカレッジは、塾長が尊敬する佐瀬昌守先生で講師に江畑謙介、中嶋嶺雄、森本敏、中谷元、重村智計、小川某などと錚々たるメンツで、1年間12回3万6千円だったと記憶しております。この講師陣で1回90分3千円は超お買い得ですね。私はイロイロ質問して先生方を煩わせました。
江畑さんが亡くなってから、もうそんなに
経つんですね。
活躍されていた頃は、数多の評論家の中で
一番説明が分かり易い方でした。
好き嫌いや、〜ありきでモノを語る評論家
(※個人の感想です)が、やたら目立ち始めた
のはこの方が亡くなられてからの気がします。
尖閣ごときに、アメリカと全面衝突という大リスクをかけて行うというのはどうなんでしょうかね
甚だ疑問
そういう事態になるとすれば、小さな事態からコントロール不能になってエスカレートしていくような展開じゃないかなあ
いわゆる先制攻撃ってのは現状、近い将来でもどうも
ま、言いたい事は本土基地攻撃はハードルが高いという事です
安易に本土攻撃が起こり得るという論調が多いので、それは違うんじゃないかと
全面的にぶつかるのはあくで日本と中国です。誤解与えてすみません。
ただ、米中が衝突ではないですが、例えばロシアの場合はエスカレーション阻止のために全面戦争でなくとも核兵器を使う事を明言しましたし、コントロールされた状況でも部分的には苛烈化する可能性は往々にあります。どのみち一度武力紛争が起きた時、エスカレーション阻止のために速攻お互いが手を引くなんて事もないでしょう。
その事を気にするなら中国もアメリカも武力介入しようなんてそもそもしないでしょうし、逆にやると考えた時点である程度の拡大も覚悟の上でやるでしょう。もちろん、突発的衝突だけなら今まで通り日中当局とアメリカの仲裁で終わらすでしょう。
話はズレましたが、結局のところ米軍基地があることも、外国人がいる事も実際に何か事を起こすつもりなら折り込み済みだろうと思うので安全では決してないというお話です。
ここで認識がズレてたら嫌なので確認ですが、本土とはどこを指してますか?日本本土ですか?沖縄本島の本土ですか?それとも米国本土ですか?
南西諸島です
エスカーレーションの防止の為に差し控える、別のチャンネルからコンタクトをとる事例というのはキューバ危機の頃からありますよ
お互いにエスカレーションさせても何の得もなく、避けたい事態ですので自制が働くし暗黙の了解もできます
政治や戦争指導する側のノンフィクション本、政治家軍人などの回想録など読むと多々あります
日本本土ならまぁ難しいとは思いますが、そこくらいなら普通にあり得るのでは…? 石垣島が占拠された想定の訓練をするくらいに中の人も念頭にいれてますし、尖閣諸島の問題が尖閣諸島だけで終わるとは思えない。(そもそも、あの石ころだけを攻めるメリットは中国にも薄いと考える。資源だけなら今も取れてるし。そのためなのか沖縄本島も自分たちのだという言説が出始めている)
それに、沖縄は中国の世界戦略にも絡むだろうから尖閣だけ取っておーしまいは楽観的じゃなかろうか?
拓殖大学だとそういう事をしていたのですか、全然知らなかっただけにその時代に学生をしていたらどれだけ良かったかと思います
南西諸島は明確に日本領土であり安保対象ですよ
安保発動はアメリカの義務です
この同盟国を守るという義務を怠った場合、他の同盟国やそうでない国に与える影響は計り知れません
アメリカがあてにならないならばロシアや中国に傾斜する国も現れる、中露はより大胆な覇権行動をとるようになる
アメリカの信用は失墜し国益を損ねます
大統領は議会から袋叩きにされるでしょう
安易に国際社会のルール(九カ国条約等)を蔑ろにして中国大陸で行動した結果が世界を敵に回した大日本帝国なんですよ
現在の中国は当時の日本などよりはるかにしたたかだと思いますけどね…
中国政府公式ではありませんが、琉球併合は無効との学説を学者が唱えたりね
直接武力を用いるのは下策との方針ではないかと
亡くなった時の某所のコメントで、「オレ達の生きた軍事評論が死んだ軍事評論になっちまったぞ」というのがツボだった。
ちなみに昔朝日新聞が出してた『知恵蔵』では、軍事科学の項を書いていたのがこの江畑氏で、非常に読み応えがあった項なので、小学生だった自分は毎日そこだけ読んでウホウホ言ってたのを思い出す。
この江畑氏はとても妥当なことしか言わないので、人によってはどうして評価されているのかわからないところがあるけど(誰だったかは、政権におもねるようなことしか言わないと評していたが…)、妥当性の根拠をきちんと重ねて論を組み立ててくれるので、例えミスがあっても、どこの何をミスしたのか把握して修正できるところが、正しく評論家だと思っております
。
F-35の導入が読めなかったのは、第4次F-X選定が延長になる前後に起こした本だからですな(当時はF-35がちゃんとモノになるのか不明瞭な時期だった)。
スーパーホーネットでもいいというのは、江畑氏的には次期戦闘機の導入は急務だったんだろうけど、それが遅れた分が現在の大量導入に繋がっているという。
>>25
自分の言いたい事がうまく伝わってないようなので申しますと、中国が仮に日本に軍事行動を取るなら米軍も相手取ってやるつもりでやるでしょう、という事を言ってる訳です。想定は日本じゃなかったですが、東南アジアとかだと、短期なら中国にも勝ち目はあるという発表をしたシンクタンクが10年くらい前に存在してたはずです。どのみち尖閣諸島の問題でもアメリカは何らかの措置を取るのは確実でしょうから。
武力は下策、国際社会が許さないでクリミアはロシアからウクライナに戻ってきたか?と言われると微妙な訳で、もちろんクリミア半島にはロシア人が多くいた事もあり事情は"かなり"異なりますが、ハイブリッド戦略が注目されるようになって久しくなった今に武力そのものが下策というのは楽観的であるかと。そもそも、国際社会が、国際法がと言われても現に中国は南沙諸島に人工島を作り、国際司法裁判所の判決なんか飾りだとも言うなど、強かであろうとは思いますが、遵守するとは思いません。ただ、これ以上は『軍事』とは異なるので国際法や日本がどうだったかは言いたくはないです。
兵器や歴史の本はそれなりに読んでいるけど、戦略や防衛政策の本はなかなか手をつけられていなかったのでここら辺から読んでみようか
「いずも」の改修、FFM(多機能護衛艦)計画、イージス・アショアの配備、島嶼防衛用高速滑空弾、F-35AとBの導入、無人偵察機の導入と自衛隊の新装備計画は江畑氏の指摘に答えるような形で進んでいるのが多いな〜
いろんなところに将来の自衛隊・日本について考えている人たちがいて、そんな人たちが種々の議論を通じて影響を与えあっておるんだろうな。 そう思うとなんとも頼もしく感じるわい。
陸自の展開能力といえば機動戦闘車が空輸可能でそれなりの攻撃力と防御力と機動性を持っているので江畑氏がどんな評価を下したのかは気になるところ。
宇宙・サイバー戦に関しては防衛大綱で「宇宙・サイバー・電磁波」と3つに分けているのが1つ違いとして指摘できそう。
「サイバー」が自衛隊の情報通信ネットワークのみならず軍事情報や民間のネットワークまで含めた広い範囲なのに対して、「電磁波」はいわゆるSIGINTの中でもレーダー情報や通信妨害など最前線での電子戦的攻防や統合運用によって生じる電波の混信などより前線に近い話の印象で、混同されがちながら両者を分離してそれぞれ力を入れていくように感じられた。
もっとも、「通信ネットワーク衛星用のSIGINT(電波スパイ)衛星」的な「宇宙・サイバー・電磁波」全てに関わるような装備も今後出てくるだろうから、これらをどんな形で住み分けるか? どんな形で統合運用に組み込むのか? とかは今後の課題だろうな〜
評論家としてより著者としての江畑氏が身近に感じてたので改めて読み返そうと思う
全てにではありませんが、コメント返答していきます。
>>2
いつもありがとうございます。現代の陸自は米海兵隊化へまっしぐらな気がします。
>>12
最後まで読んでいただきありがとうございます。
今後は江畑氏の考察をいい意味で逸脱する様になっても、悪い方向へ行かない様にしてほしいですよね。それは国民が行うという事を江畑氏は教えてくれた気がします。
>>14
なんと・・・学生時代に拓大へ遊びに行けばよかった・・・国士館近かったのに()
>>15
こんな時代だからこそ、江畑氏の様な有識者に表舞台に立ってほしいですよね。
>>26
いつもありがとうございます。
江畑氏の記事読みたかったなあ(気が付くのが遅かった)
F-35への着目は早かったのですが、いかんせん時期が時期でしたよね。
>>28
いつも面白い記事拝読させていただいております。
江畑先生、機動戦闘車には懐疑的なんですよね。
ストライカー装甲車などのイラク戦争に於ける問題を垣間見てたからでしょうが・・・
電磁波を電子戦としてサイバー戦闘と分けるのは失念しておりました。
ただ、大局的になるほどサイバー戦闘と電子戦の境目がなくなるのは悩ましいですよね。
>>29
自分もまったく同じ経験しました。先生の書籍をもう少し買い集めようと思ってます。
>>30
江畑氏の著書で個人的に一番好感度が高い部分ですね。
自身も趣味の活動に時間を与えてくれ、支えてくれる妻に感謝です。
離島関係については「海兵隊化」といえるけど、全体でみると「機略戦」対処への移行といえなくもない気がするワニ。
それと電子戦は「陸海空宇宙の三次元空間における電磁波利用を巡る戦い」といえるのに対し、サイバー戦は「サイバー空間という、距離の概念が存在しない空間における情報を用いた戦い」と大まかにいえると思えるワニ。また、電子戦やサイバー戦に加えて諜報戦や心理戦等をひとまとめにして『情報戦(Information Warfare)』と呼ぶ考え方もあるワニ。
ちなみに江畑氏のどの著作だったかは失念してしまったけど、「ポケモンショック」の兵器利用についての話もあったりするワニ。
江畑氏がご存命の時代は、イラク・アフガンの最中で大国間の戦争はなくなり、民族や宗教の小規模対立に先進国がいかにコミットするか。そのための海外展開と市街戦能力等が言われていた時代だと思います。現在の中国・ロシアありようは想像されていなかったっただろう。現状と違うことがあればその点だと思います。
機動力についても以上からまず平時の前方展開力が必要で、そのための即応機動連隊等だと思います。その上での前線での機動戦、電子戦ですね。
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