「海自の電子戦訓練支援機UP-3DとU-36A、そして謎の(?)第91航空隊」:岩国基地フレンドシップ・デーその2
文・写真:誤字様
前回の記事では海上自衛隊の画像情報収集機OP-3Cと電子戦データ収集機EP-3という2種類の情報収集機を紹介しました。
今回ご紹介するのは電子戦データ収集機EP-3と似ているけれど大きく違う訓練支援機UP-3D、他国にはない特殊な訓練支援機U-36A、そしてこれらを運用する第91航空隊についてです。

訓練支援機UP-3D
UP-3Dの説明板、訓練のために海自護衛艦にジャミングをかけるための機体、右下の明るい部分は影を消そうと画像を加工したら変になった部分(´・ω・`)
電子戦 と聞いて一般の人が一番に想像するのは前回紹介したような地味な電波収集では無く、映画やゲームで行われるような通信が出来なくなったりレーダーが使えなくなるような いわゆる電波妨害(ジャミング)かもしれません。
海上自衛隊の訓練支援機UP-3Dはこういったいわゆる電波妨害を行う機体で、海上自衛隊の艦艇に電波妨害を仕掛け、艦艇が電波妨害を受けた環境での訓練を実施するのが任務の機体です。
海上自衛隊の公式ホームページで公開されている飛行中のUP-3Dの写真、機体下部の黒いレドームやエアコンがよく分かる、両翼のパイロンに吊るされている赤いミサイルのようなものがえい航標的である。(出典:海上自衛隊ホームページhttp://www.mod.go.jp/msdf/formal/gallery/aircraft/tayo/details/up-3d.html のものを加工して掲載)
機体下部の黒い出っ張り、レドーム(レーダードーム)内に妨害用のアンテナが入っており、このアンテナから強力な妨害電波を発して海上自衛隊の艦艇がレーダーを使い難い状態にして高度な電子戦環境下での艦艇のミサイル訓練を行います。
乗員の方に聞いたところ電波妨害装置起動中は相当な熱が発生するらしく、機体後部下レドーム後ろに関連機器冷却用のエアコンがついている とのことです。
妨害装置は下部のレドームの中に入っており、自分よりも下にいる艦艇に電波妨害が行えます、一方で上方へ電波妨害を行うのは苦手で航空機への電波妨害は基本的に行わないとのことでした。またレドームの形は細長い形のものが多いですが、これはアンテナが動く角度を制限して(つまり電波妨害を行える範囲を制限して)レドームを小さくしたためにこのような形になっているようです。
個人的にはこれらの制約は艦艇に対する訓練という目的に合わせた必要な取捨選択だと感じました。
電波妨害といえばかなり攻撃的な印象なので最前線にも出て行きそうですが、海上自衛隊の場合は訓練支援という任務に専念しているのでそういう事は無い と乗員の方はおっしゃっていました。
電波妨害以外にも標的曳航装置RM-30Aという専用の装置を使い高速えい航標的や超低高度えい航標的を曳航し、護衛艦による実弾射撃訓練を支援するのも本機と後述のU-36Aの任務です。
標的曳航装置は5km近く曳航索を繰り出して実弾訓練に使用するようですが、実弾を使うとあって訓練の際はかなり慎重な安全確認を行うようです。
乗員は8名で一連のP-3C派生機の中では最も少ないです。その中で操縦士2名、機上整備員2名、航法通信員1名の5名は機体を飛ばすのに必要な乗員で、UP-3D固有の乗員は訓練統制員1名と電波妨害員2名だけとなっています。
最大搭乗員は18名ですが、乗員のお話ではこの10名は人員輸送の際に乗る人々で床にあるシートベルトで最低限の安全が確保される人数 との事です。
UP-3Dの横顔、上下の細長いレドームが特徴的、下のレドームには妨害用のアンテナが、上のレドームには通信用のアンテナが入っているらしい
UP-3Dの機体後部、日の丸の下の方に付いている小さな箱が電波妨害機器冷却用のクーラー
訓練支援機U-36A
UP-3Dを紹介した以上はその”相方”であるU-36Aを紹介しないわけには行きません。
この機体は元々は民間のビジネスジェット機で、乗員4名、全長14.86メートル、速力約889km/hという諸元はこれまで紹介してきたP-3C派生機(乗員10名前後、全長32.7メートル、速力約750km/h)よりかなり小さく、大きさ的には民間のホンダジェットと同じくらいです。
本機の最大の特徴は両翼端に装備されたミサイル・シーカー・シミュレーターで、これは海上自衛隊が訓練支援機として運用するにあたり新たに取り付けられた装備です。
U-36A右翼のミサイル・シーカー・シミュレーター、内部にはIRカメラらしきものが見える。2017年に撮影
これは実際のミサイル・シーカーを模したもので、訓練の際に護衛艦はこの部分を敵のミサイルに見立ててミサイル対処(チャフ・フレア発射や電波妨害)を行うことで艦艇が行なったミサイル対処が実際にどれほど有効なのか? という点を評価しながら訓練を行えます。
上記のUP-3を併用した訓練も行なっているようで、UP-3が妨害電波の照射やチャフを散布して艦艇のレーダーを妨害、その間に対艦ミサイル役の本機が艦艇に接近する事で高度な電子戦環境下でのミサイル対処を訓練することが出来るようです。
またUP-3と同じく各種曳航標的を装備して護衛艦の実弾訓練を支援できるようで、海上自衛隊の公式ホームページには標的を投下する本機の画像が掲載されています。
超低高度えい航標的システム「JAQ-50」を投下するU-36A、拡大してよく見てみると赤い標的からU-36Aに細い曳航索が繋がっている。(出典:海上自衛隊http://www.mod.go.jp/msdf/formal/gallery/aircraft/tayo/details/u-36a.html)
この装備は調べた限り他の国に類似装備は見当たらず、対艦ミサイルへの対処を重視する海上自衛隊ならではの装備と言えるでしょう。
本機にはこれ以外にも訓練用電波妨害装置 HLQ-2-Tというジャミングポットと、チャフ/フレア射出装置AN/ALE-43という装備もあるようですが情報が少なく詳しいことは分かりませんでした。
UP-3Dの電波妨害能力を推測する
実際のところUP-3Dの妨害能力はどの程度のものなのでしょうか?
詳しい能力については重要な機密事項のため知ることは出来ませんが、航空自衛隊の同種機体、電子支援訓練機EC-1に関する公開情報から電波妨害能力についてある程度推測することが出来ます。
EC-1の訓練用ECM(電波妨害)装置J/ALQ-5は平成14年度から8年間の歳月と70億円もの予算を投じて改良が加えられましたが、この改良に関する防衛省の「事前の事業評価」と「事後の事業評価」は電波妨害装置に関する多くの示唆を含む内容となっています。
まず平成13年度の訓練用ECM装置J/ALQ-5の能力向上に関する「事前の事業評価」では
「近年、通信電子機器の性能が飛躍的に向上しており、それに伴って電波器材のECM能力、ECCM能力も向上し、多くの電波妨害方式、耐電波妨害機能が確立されて」おり「現有ECM装置では、航空自衛隊に装備された新規のレーダに対して使用周波数の違いと送信電波の出力の向上から十分なECMの訓練が実施できず、平成20年において訓練対象レーダの70%に対してECM対処訓練ができない事態となる」として次のようなグラフを示しています。
このグラフの「対応可能なレーダサイト」の詳細は不明だが、謎の多いECM装置の能力を知れる公的な情報として貴重であろう。なお横軸の50%の位置がオカシイ(出典:防衛省HPの資料を加工して作成:http://www.mod.go.jp/j/approach/hyouka/seisaku/results/13/jizen/honbun/21.pdf)
このグラフによると「対応可能なレーダサイト」の割合は五年で10%程度減少しており、ECM装置の急激な陳腐化が図示されています。
こうした問題意識のもとでEC-1の訓練用ECM装置には能力向上が施され、平成24年度の事後の事業評価によると一連の改造により「(ア)半導体モジュールを用いた高効率広帯域技術 (イ)移動目標を含む多目標に対する妨害制御技術 (ウ)監視対象目標に対する精測方探技術 (エ)妨害中に、対象レーダ等の受信を可能とするための干渉波抑圧技術」といった技術開発を行い「新型のレーダに対するECM対処訓練を将来にわたって実施することが可能となった」とされています。
これを元に海上自衛隊のUP-3Dの能力を推測してみましょう。
平成13年度で運用開始から20年近く経っていたEC-1の「対応可能なレーダサイト」の割合は直線的に低下して50%付近であることから、運用開始当初はEC-1の「対応可能なレーダサイト」の割合は90%近くあったと推測できます。
このことからEC-1と似た任務を行うUP-3Dでも”平成9年の運用開始当初"は90%近いレーダーに対応可能な能力があったと考えて差し支えないはずです。
しかしEC-1と同様にレーダー技術の進歩によりUP-3Dの能力も急速に陳腐化しているはずで、運用開始から20年以上たった現在では「対応可能なレーダサイト」相当の能力が50%を切り、新型のレーダーに対する電子戦訓練は困難な状況だと考えざるを得ません。
UP-3Dが海上自衛隊の艦艇に対して最新の電子戦訓練を行うためにはEC-1のように最新技術を取り入れた大改造が必要ですが、元型機P-3Cの用途廃止・退役が迫る中でそのような大改造は難しいと考えられます。
海上自衛隊艦艇の対電子戦対策能力を維持・向上させるためには乗員の訓練を怠らないと共に機器の更新を継続して飛躍的な向上を続ける通信電子機器の能力に取り残されないようにしなければならないはずです。最新の機材を装備している航空自衛隊のEC-1の協力を得たり、UP-3Dの後続として新型機P-1に最新の電波妨害装置を搭載した新しい電子戦訓練機を配備するなど、海上自衛隊の抑止力を維持するためには今後も不断の努力(と出費)が必要とされるでしょう。
謎多き(?)第91航空隊
UP-3とU-36Aは海上自衛隊で電子戦訓練及び対空射撃訓練支援を行う第91航空隊で運用されています。
護衛艦が訓練を行う際にはこの部隊が訓練海域まで出張し、電子戦訓練や実弾訓練などの支援を行うようです。
この部隊についてもその任務の特性上なかなか情報が見つかりませんでしたが、数少ない公開情報では幹部予定者課程の卒業式で祝賀飛行を行なったり一般幹部候補生航空実習の航空機見学で利用されているなど、海上自衛隊の高度な能力を下支えしている任務の一旦を見ることができます。
電子戦訓練という現代戦に不可欠な最新の訓練を担いながら一般にはイマイチ影の薄い第91航空隊、お近くの基地祭で海自の中ではカラフルなUP-3やU-36Aといった機体を見かけたら、その重要な任務について思いを馳せてみてはいかがでしょうか?
参考
U-36Aの訓練用電波妨害装置 HLQ-2-Tやチャフ/フレア射出装置AN/ALE-43について防衛省のサイトで検索すると、例えば以下のような公募を見つけることが出来る。
http://www.mod.go.jp/msdf/bukei/k4/nyuusatsu/K-26-0000-0003.pdf
写真は非常に少ないが、以下の「らいとういんぐ」さんのサイトで数点確認できる。
http://rightwing.sakura.ne.jp/equipment/jmsdf/other/chaffpod/chaffpod.html
http://rightwing.sakura.ne.jp/equipment/jmsdf/other/jammerpod/jammerpod.html
EC-1の訓練用ECM装置J/ALQ-5については以下を参照
平成13年度 政策評価書(事前の事業評価)
平成24年度 政策評価書(事後の事業評価)
第91航空隊の活動については以下を参照
海上自衛隊 岩国航空基地 第91航空隊
第120期幹部予定者課程の卒業式
第67期一般幹部候補生課程航空実習(9月5日~9日)
第68期一般幹部候補生課程航空実習
平成26年度第2回護衛隊群米国派遣訓練について
平成27年度第1回護衛隊群米国派遣訓練(グアム方面)の実施について

コメント
どちらかと言えば空自の領域やけどグラウラー導入等でこの辺りも変わってくるんやろなぁ……
記事中のグラフより、EC-2の旧式ECMで対応不可能なレーダーサイトの割合が、FPS-3の運用が開始される前年の94年(平成6年)において40%弱になってるけど、これは当時最新鋭のJ/FPS-2の配備割合(11/28基)にほぼ一致するから、
EC-2の旧式ECMでジャミングできるのは、EC-2製造とほぼ同時期(80年代前半)に配備され始めたJ/FPS-2よりも古いレーダ、すなわちAN/FPS-20、AN/FPS-6、J/FPS-1ばかりということになる
そりゃ2000年代ともなれば大改造しないと使い物にならなくなるのは当然かもしれない
それに対して、海自のUP-3DはEC-2大改造より少し早い2000年ごろに製造されているので、00年に制式化(運用開始自体は09年)されたFCS-3へのジャミングは無理かもしれない
しかしFCS-3より古いOPS-24などの大半の艦載レーダーに対しては有効であると思われるので、改造の必要性はまだ薄いのかもしれない
「この機は製造から15年ほどで、機齢に余裕があるので(退役は)当分ない」といったニュアンスの返答が得られました。
というわけで今後、艦艇の入れ替えペースによってはECM機材を能力向上して続投も有り得るかな?
ドーモ、コメントありがとうございます。
グラウラーも良い機体なのだろけど、大型低速ながらデッカいエアコンまで付いているUP-3DやEC-1とは任務も役割も大きく違うので難しいところです。
UP-3DやEC-1がグラウラーを代替出来ないように、グラウラーもUP-3DやEC-1を代替出来そうにないので、変わるというよりも単純に出来る事(とお仕事や面倒)が増えると考えた方が適当なんじゃないかと感じました。
※2
おお、このグラフはJ/FPS-2の配備割合と一致するのですか!
多分何かしらの装備と関係するのじゃないかと感じていましたが、そこら辺までは調べられていませんでしたのでこういった情報はありがたいです。
ジャミング機とレーダーサイトでどちらが有利なのかも気になっていたのですが、グラフがJ/FPS-2の配備割合と一致するなら「ジャミング機は自機より古い時代のレーダーサイトには効果的だが、同時期や新型のレーダーサイトには対応困難」的な事も推測できそうですね。
それならFPC-3の導入が遅れて大半の艦載レーダーが古いままの現在の護衛艦隊なら大丈夫なのかも?
う〜ん、しかしそう考えて行くと古いレーダーでも最新のレーダーを装備した僚艦や早期警戒機とデータリンク出来る場合はジャミングをする方、される方はどうするのか? とか連携についても色々と考えられそう。
う〜む、ジャミングというのも奥が深い、機密が多いのが残念でならないな
※3
積載量がC-1の四倍以上のC-2を電波妨害機化・・・
とても・・・ 良いと思います(ハァハァ
あ、UP-3Dは新規製造だったか、削減機の改造だったOP-3Cと混同してお年寄りな機体だと思い込んでいたや(´・ω・`)
機齢的には能力向上を受けた時のEC-1と同じぐらいなので、能力向上の改造もありですね。
P-3Cの退役が進むと部品調達とか苦労するとも思っていましたが、空自では今だにYS-11系列の機体が頑張っている って話もあるので続投は十分ありえそうです。
思い込みで「P-3Cの大改造は難しい」なんて書いちゃいましたが、確かにこれならP-3CがP-1で全て代替された後もしばらくUP-3Dは飛んでいる可能性が高そうですね。
「その2」を楽しみにしておりました。普段はなかなかわからない電子戦機の実態をコンパクトにわかりやすく紹介していただき、興味深く拝見いたしました。
UP-3Dのアンテナの可動範囲を限定していることは知りませんでした。あくまで訓練機としての「カタキ役」ということなんですね。これが実際に敵艦隊への電子妨害として使用できるのかというと……。
せめてスタンドオフ・ジャマーとして使用できるように最初から製造することが税金の正しい使い方だと思うんですが。もっと言えば、本格的な電子妨害機により訓練することこそ練度向上に資すると考えます。
蛇足ながら、投稿本編も面白く力作ですが、コメント欄の有用な意見が非常に勉強になりました。本編が「呼び水」となったからこそですね。
で重要なのは※7さんのいうように乗員の練度、とは聞いた
グラウラーなんかは乗員2名でマンパワー足りていないようだけど
このAESAへの電子妨害のやり方はようわからんけど、ステルス機の存在を考えると完全な電波妨害は難しいんじゃないのかね
だからといってレーダーサイト側有利、万能!などというつもりもないが
対策はあるしね
それこそレーダーサイト攻撃、巡航デコイなどの手段がある
ミサイルのレーダーに対してはかなり西側の電子妨害は有効なようでもあるし
タイマン勝負するわけでなし、スポーツ競技のように制限下で戦争やるわけじゃあない
どっちが強いかとか装備単体同士で考えてもなあ
ご期待に応えられたようで嬉しいです。
<本格的な電子妨害機により訓練する
う〜ん、この点については私も最初はそういう風に思ったのですが、調べるうちに意見が変わってきましたね。
というのも危険な最前線で不明な敵に任務をこなさなければならないグラウラーのような電子戦機と、UP-3Dのように撃墜される危険性の無い訓練海域で事前に決められた訓練シナリオに沿ってECMを使う電子戦訓練機では求められいるものが大きく異なります。
特にグラウラーは※8さんの言うように乗員2名でマンパワーが不足な上にAN/ALQ-99電子戦ポッドのようなものは小さくて能力が限られ、訓練で必要とされるような多種多様な状況を繰り返し反復するような用途には適さないのではないでしょうか?
やりようではあるでしょうが、過酷なシナリオが設定される訓練においてはグラウラーのような実戦用の機体を何機も飛ばすよりも、少数のUP-3Dでも多様で強力な妨害を仕掛けて足りない所をU-36Aのジャミングポットで補うという形の方がより有益な訓練が行えるように調べていて感じられました。
実際米軍で海自第91航空隊と同様の任務を行う部隊、Fleet Electronic Warfare Support Group's (FEWSG) について調べてみると、妨害可能範囲が限られていそうなKNC-135Aの説明で「驚くほど現実的な電子戦環境でトレーニングした」的な感じな事が書いてあり、KNC-135Aは世界中で展開する米海軍に訓練を施すために重宝されていたようなので練度向上には十分に有益だったのではないかと感じます。
参考(米国版U-36Aみたいな機体もいる・・・):http://www.vaq34.com/vaq34/vaqfewsg1.htm
<せめてスタンドオフ・ジャマーとして使用できるように
スタンドオフ・ジャマーとして使う場合はエスコートジャマーの場合と違って遠距離で一定の高度、速度で飛行できる場合が多いと考えられますので角度制限は大きな問題にならず、一方で機器冷却用のエアコンまで備えるUP-3Dは遠距離のスタンドオフ・ジャマーに適した高出力ジャミングを行える能力もあると私は推測します。
もっとも、いざ開戦となれば日本の場合敵方が使う様々な新手のジャミングに対して効果的な対策を研究・開発・訓練するためにUP-3Dのような機体は引っ張り凧になりそうなので、UP-3Dが危険な割に効果が微妙と言えるスタンドオフ・ジャマー任務に従事すべきかは難しいところなんじゃないかとも思ったり・・・
<税金の正しい使い方
機密の多い電子戦機などの分野では税金が正しく使われているのか否か判断しづらいのが泣き所ですね。
私のような物好きな軍オタの投稿記事でも微力ながらも皆様のお役に立って税金の使い方の成否判断の材料にしてもらったり、機密部署の方々にも気になって調べて見ている物好きもいる事を知ってもらって緊張感を持ってお仕事をしてもらえたらお国の為にもなるんじゃないかと信じております(`・ω・´)b
<使用電波帯域を細かく切り替えながら、それらを集計処理しての走査になってるから
「電子戦の技術 基礎編」では周波数ホッピングを利用した通信波帯信号の説明で
別の周波数に「飛ぶ」(ホップする)速度は1秒間に100ホップ程度で低速、それ以上の極めて早い速度を高速ホップと呼ぶ人が多い。
30〜88MHzを25kHz刻みで2320ステップのホップする周波数を用意した場合、対象周波数範囲全体に妨害電力を拡散しなければならないとすると妨害に対しては2320倍有利であると言える、それをデシベル換算すれば33.6dB大きい妨害電波が必要になる
といった事が書いてありました。
対策としては利用しているホップ周波数を極めて高速な周波数測定技術により探知して追随妨害を行うか、妨害機を敵近傍まで接近させて広帯域妨害を行うかの2つの対策が用いられているようです。
UP-3DやEA-6Bは乗員数で追随妨害を行う方向で運用し、グラウラーは近接して広帯域妨害を行う方向で運用しているのではないかと感じています。
<ステルス機の存在を考えると完全な電波妨害は難しいんじゃないのかね
完全な電波妨害は無理でも妨害でレーダーにノイズが増えるとステルス機はさらに発見しづらくなるはずですし、目標の精査が難しくなりデコイがより有効になるなど使い方は色々とありそうですね。
投稿記事では自分の知識が不十分なので安直にEC-1とUP-3Dの装備単体同士での比較にしてしまいましたが、空海で異なる脅威の種類や対策すべき妨害の特徴についてなど、より考えるべき要素は多いのだろうな とは感じております。
※11
<内部電子装置の冷却が大変そうな気がしますね
液体窒素は流石にまだないですが、F-35なんてステルスで風通しが悪い上に電子機器の塊だから燃料で冷却を行っているようです。
参考:【雑学】次世代戦闘機を悩ませる『放熱・冷却』という問題:http://harukaze.tokyo/2018/02/21/jisedaireikyaku/
わざわざお答えいただきありがとうございました。
次回の投稿楽しみにしております。
…もっとも、基地備蓄の燃料の温度が高い場合に問題になっており、燃料冷却用の新たな基地支援機材が必要とされているが
それとJAXAの極超音速機での水素燃料表面冷却は正気の沙汰でないのでやめて欲しい
液体燃料ロケットでは燃焼室やノズルの冷却に、推進剤の液体水素を使っていたような気が。
F-35の冷却システムは燃料、電源、環境制御システム全てを統合した冷却システムのようなので、赤外線対策の機体表面用でもある と言うのが適当なのかもしれません。燃料温度の問題についてはF-35情報館に紹介されていますが、夏の気温が40℃を超えるルーク空軍基地で「将来的に燃料温度が高くなることによる機体停止(航空機のシャットダウン)の可能性を軽減するための積極的な対策を講じている。」という事で現在大きな問題となっていると言う訳では無いようです。
参考:http://f35jsf.wiki.fc2.com/wiki/ウェポンベイの熱について
2010 AVIATION WEEK PROGRAM EXCELLENCE INITIATIVE:Honeywell International F35 Power Thermal Management System:http://mromarketing.aviationweek.com/programexcellence/files/2010/Sub%20Sys%20Prod%20Sus%20Hwell%20F35%20PTMS.pdf
<極超音速機での水素燃料表面冷却は正気の沙汰でないのでやめて欲しい
JAXAの極超音速機での水素燃料表面冷却はこれですか?
http://www.aero.jaxa.jp/research/frontier/hst/
冷却とは言えあくまで空気の冷却用、これなら超音速でしか使いないスクラムジェットエンジンに頼る必要が無く、水素燃焼は発熱量が大きいため機体を軽くでき、保存が面倒な水素をロケット等で使用ノウハウがある液体水素にすることでカバー、燃料密度が小さく大柄な機体になるのもリフ ティングボディ形状でカバーといい事づくめですわ〜 この技術がモノになれば夢の極超音速巡航ミサイルや極超音速爆撃機も夢じゃ無い⁉︎
※16
情報漏洩もある程度はありそうですね。
単純に実戦機の能力を明らかにしないと言う以外にも、F/A-18の航続距離は増槽3つ積んでもP-3Cの半分以下なので、広い海域で活動する自国の艦艇の都合に合わせつつ他国の電波情報収集を撹乱することも出来そうです。
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