第44・45回木更津航空祭
文・写真:nona
2017年2月と9月に千葉県の木更津駐屯地で開催された航空祭を見学のレポートです。周年行事が年2回も開催するというのも珍しいので、1記事にまとめて紹介いたします。
撮影時期と器材に差異がある写真の質や被写体に多少の違いがありますがご了承ください。
ぴあ (2016-03-04)
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2017年2月の木更津駐屯地。東京湾を望む千葉県木更津市に所在する旧軍時代からの航空基地であり、現在は写真のCH-47J/JAの他、AH-1SやEC-225LP、LR-2など陸自の回転翼&固定翼機が配備されています。実はアメリカ軍のV-22オスプレイの整備拠点でもあるのですが、1機として見ることはできませんでした。
芝が青々とした2017年9月の木更津基地と、対岸遠方に見える新日鉄住金の君津製鉄所。
歴史の長い基地なので、旧軍由来の航空機掩体や倉庫、記念碑なども残されています。
展示飛行に先立ち、CH-47による慰霊飛行が行われました。(写真はイメージ)。会場上空に3機のCH-47が現れた後、1機だけが編隊を離れていく...というもので、2017年7月に北海道北斗市の山中で墜落したLR-2連絡偵察機と殉職した4名の搭乗員を弔うものでした。
墜落機と同型のLR-2連絡偵察機。2月の航空祭で撮影したもので、9月の飛行展示は実施されませんでした。
特別輸送ヘリコプター隊 EC-225LP。木更津基地にのみ配備されている要人輸送用ヘリコプターです。
2017年現在の配備数は3機。2011年3月の震災でたまたま東北にいた1機が大破したらしまったらしく、補填として1機が追加されています。
機敏な動きを披露していますが、さすがに「内閣総辞職ビーム」を回避できないかと。
OH-6D観測ヘリコプター。2014年までは84機が保有されていましたが、新練習ヘリコプターTH-480Bの導入に伴い36機が一斉に退役。2017年度の防衛白書によると保有数44機となっています。
細身のAH-1S対戦車ヘリコプター。2017年現在59機を保有しています。
地上では20mm機関砲(M197)の動作デモが行われていました。機首のTSU(機首センサー)と共に機関砲は左へ旋回。TSUには500メートル先の人が握るリップクリームの銘柄を判別する性能がある、とのこと。
つづいてヘルメット照準器を使用し、ガンナーが首を向けた方向へ機関砲を指向。AH-1Sの機関砲周辺のヒューマン・マシン・インタフェースはかなり凝っています。
木更津の第4対戦車ヘリコプター隊の隊舎に展示されるAH-1Sの模型。2011年から2013年までの木更津航空祭で公開された特別展示塗装が再現されています。
当初は震災復興を応援する意味合いも含んでいたようですが...翌年から女の子の絵がフィーチャーされています。
2013年の特別塗装はこんなの。
OH-1も。
ハインドV?大佐、ロシアのガンシップがなぜここにある?
UH-60JA。
ホイスト・ケーブルを用いた降下救助の展示と、
機関銃の空砲射撃が披露されました。
木更津航空祭の主役、CH-47の編隊飛行。
飛行展示機とは別に地上にも複数のCH-47JA(およびJ)型が置かれていました。
CH-47Jによる空中消火の展示。2011年3月の福島第一原子力発電所事故においても放水が実施され、チェルノブイリ事故のようにホウ酸を炉内へ散布する計画も存在した、という話です。
CH-47Jによる軽装甲機動車の運搬。
吊り下げた高機動車を切り離すCH-47JA。
CH-47JAの後部ランプから発進する高機動車。
ところでCH-47JとJAを見分けるには、機首に設けられた航法用レーダーの黒いレドームの有無、側面の燃料タンクの大小、監視用の球状窓の位置、前脚の位置に違いがあります。遠目ではわかりにくい場合もありますが。
CH-47のエピソードといえばフォークランドの話が印象に残っているので、久しぶりに紹介したいと思います。
1982年6月2日、フォークランド諸島におけるイギリス軍とアルゼンチン軍の地上戦が開始された頃、イギリス軍のヘリコプター強襲部隊がある集落を掌握し、切断されていない電話を発見。電話は50km東のフィッツロイ集落の民家へつながり、島民はアルゼンチン兵が同地にいないことを伝えた。
これを前進のチャンスと考えたイギリス陸軍第二空挺大隊の副大隊長ら幹部は(大隊長は数日前に本部要員ごと突撃して戦死)イギリス軍がフォークランドで唯一使用できた空軍のチヌークHC.1(CH-47)コールサイン「ブラボー・ノベンバー」を、運用計画を無視して乗取り、最大81名の空挺隊を乗せてフィッツロイまで往復させた。
無茶苦茶な話です。
カワサキか・・・
そういえば、両航空祭では(ヘリコプターのほうの)ニンジャの飛行展示がありませんでした。
フルオープンで疾走する高機動車。木更津基地の展示のシナリオは、観客席の右側の敵勢力を空中機動で撃退する、というシナリオになっています。
軽装甲機動車。
最後はCH-47J。
ちなみに9月の撮影ではいつも撮影に使用する一眼レフカメラではなく、パナソニックのLUMIX DC-FZ85 という廉価なデジカメを使用しています。2017年9月の売価は29800円を切る安物ですが、動体に対するフォーカス性能に優れており、望遠に対応するため、ミリタリー分野の撮影に向いています。
ただし静物を撮影したときに画質の悪さが目立ち、一眼レフどころか、iPhone SEにさえ劣るため(特に夜間)、あまり高画素のディスプレイや大判印刷には向きません。
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コメント
あと飛行停止が長引いていたOH-1は、お盆あたりに明野で試験飛行を始めた話があったような。
管理人様
いつも読み応えのある記事をありがとうございます。
欧州での大事故以降飛行停止が続いていたEC-225LPですが、ようやく運用再開できたのですね。
メインローターマストが空中で吹き飛ぶという尋常ならざる事故でしたが、原因は何だったのでしょうか?
OH-1は先日久しぶりに飛行する姿を見ました。
???「詳しい話は木更津家の4姉妹に聞け、あの世でな!(謎)」
ガナーのヘルメットに連動して動作する機関砲を見ると、おっさんなので『ブルーサンダー』を思い出してしまう…。
一応ヘルメットに照準環が付いてますが、やっぱりガナーの頭と機関砲の取付け位置が離れてるのを意識しながら撃たないと、狙った所に当てられなかったりするんでしょうか?
その状態で、左右MAXにターレット振った状態で誤差2ミル以下だったかな?詳しくはマニュアルのボアサイトHSUの項目見ないとわからんが。
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