<書評「日本軍の陸戦兵器」入手し易い書籍編>
文:烈風改
■入手し易い書籍
以上のように紹介した“定番本”は発行年が古かったり、古書市場で値段が高騰しているなどの理由により入手性に難があることは否めません。代用という訳ではありませんが、近年に発行された比較的容易に入手可能なお勧め書籍を選んでみました。
光人社
売り上げランキング: 97,930
◆機甲入門 佐山二郎【平成14年】
◆大砲入門 佐山二郎【平成20年】
「日本の大砲」の著者の一人である佐山二郎氏による文庫サイズの書籍です。
書名とは裏腹に“入門”にはほど遠い内容で、初心者よりもある程度日本陸軍の兵器に関する知識を持つ人向けです。良い意味で初心者置いてきぼり的な構成ですね。
それぞれ「日本の戦車」や「日本の大砲」の存在を意識したとも取れる内容で、過去の定番本のアップデート的な側面も有していると思われます。読み解くには著者特有の“本の構成”に対する慣れが必要なため、前提知識無しだとやや読みづらいかもしれません。
文庫サイズなのでせっかくの図版や写真が小さく勿体ない面もありますが、内容は最新の研究を取り入れた部分もあり、定番本の補完という点でもマニアには外せないシリーズです。
火砲については砲の種類ごとにまとめた「日本陸軍の火砲」シリーズも刊行されており、そちらもお勧めです。
◆日本の戦車―1927-1945 アルゴノート社【平成28年】
写真や図解に重点を置いた構成で、ビジュアル的な情報量と入手性・価格を考慮すると非常にバランスの取れた一冊です。ビジュアルという面からは同じアルゴノート社の「日本の戦車と装甲車輌」も良いのですが、入手性の面からこちらが現時点でのお勧めとなります。
◆日本陸軍便覧―米陸軍省テクニカル・マニュアル1944 米陸軍省 光人社【平成10年】
こちらのブログでも過去に紹介されていますが、陸軍の組織や制度、戦略的なものまで広範囲に日本陸軍を研究した資料本です。
米軍によって纏められたレポートですが、捕獲文書や捕獲兵器を元にした情報のため誇張や冗長的な表現も無く、淡々と客観的(米軍視点ではありますが)なデータ・見解が語られています。
捕獲品から実測したと思われるデータも有るので、兵器の形式やスペックを調べる場合は有用な選択肢の一つとなるでしょう。
但し、兵器の運用者では無い側からのレポートであるため、運用思想・使用方法を理解していない故の誤認や誤解、捕獲文書・兵器の状態による錯誤などが含まれる可能性は念頭に置く必要が有ります。
<著者紹介>
烈風改
帝国海軍の軍艦、特に航空母艦についての同人誌を多数発行。
代表作に『航空母艦緊急増勢計画』
Twitter: https://twitter.com/RX2662
コメント
昔、大戦略で烈風改造ったけど艦載機から戦闘機になって弱かった。
でも零戦の後継機っぽい曲線美が好き。
個人の体験記ばかり
俯瞰的な戦史系はそもそもジャンルが違う。兵器体系の本で書く内容じゃ無い。
ただ戦車に限っては活躍全体は俯瞰して書かれてんじゃん。満州事変からルソン島まで事細かくね。
そっちのジャンルが弱いって話
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