2016年秋の高雄軍港と駁二動漫祭
文・写真:nona
今回の旅で最後の目的は高雄港。左營から高雄港までは高雄捷運(地下鉄)と徒歩で30-40分ほど。2016年に悠々カード(公共交通機関で使用できるICカード)の利用も可能となりましたが、まだ窓口でないとチャージャができません。
そんな高雄捷運ではアニメキャラクターのキャンペーンをやっていました。秋葉原や大阪日本橋の電気街でもここまではしていない(はず)。
なお乗車ルールはかなり厳しく、車内の飲食には罰金が科されます。ミネラルウォーターも×。ちなみに、この女の子は名前を「小穹」さんといい詳しいプロフィールが構内に張り出されています。10月16日生まれ、身長163cm、体重45.625kgとのこと。(痩せすぎ?)
こちらが高雄港。港内には観光船と市民の連絡フェリーが数路線あり、航路の途中で海軍や海岸巡防署(沿岸警備隊)の艦船の見物ができるわけです。
ちなみにGoogle Mapでは高雄の海軍地区にモザイク処理がかけられていますが、マイクロソフトのBing Mapは無修正。防諜にさしたる効果はないようです。
地上高375mを誇る高雄85大樓と海岸巡防署の巡防救難艦。
海岸巡防署は2000年に內政部警政署の水上警察局と、國防部の海岸巡防司令部の統合で生まれた沿岸警備組織。管轄は東沙諸島、南沙諸島、尖閣諸島におよび、さらに金門島、馬祖島のように中国大陸に近い島々の陸上警備も担当しています。
CG131苗栗巡防救難艦(全長87.6m、満載排水量1899トン、ボフォース40mm機関砲、T75-20mm機関砲を装備)と巡護九号巡防救難艦(全長84.5m、満載排水量1914.8トン、T75-20mm機関砲を装備)。
巡護八号巡防救難艦(全長84.5m、満載排水量1859トン、T75-20mm機関砲を装備)。
海岸巡防署の艦艇に装備されているT75-20mm機関砲は、M39A3リボルバーカノンを台湾がライセンス生産したもの。M39は1950年代にアメリカの戦闘機が搭載していた航空機関砲で、バルカン砲の登場以降は主流から外れていますが、台湾軍では現在においても、多種多様な用途で使用しています。
CG-120 澎湖巡防救難艦(全長63.55m、滿載排水量827トン、T75-20mm機関砲を装備)。
ぼろぼろの型式不明の艦艇と、CG118巡防救難艦基隆(全長63.55m、満載排水量827トン、固定武装なし)。
ここからは海軍地区。
廃艦にされた済陽級フリゲート(旧ノックス級フリゲート)。台湾海軍に同型の導入が始まったのは1999年で、台湾海軍では独自にスタンダート対空ミサイルの搭載改修によって防空能力を向上させています。
台湾海軍所属の基隆級駆逐艦左營(旧駆逐艦キッド)。滿載排水量9783トンの大型艦で、スタンダート艦対空ミサイルの連装発射機を2基、5インチ砲を2門搭載。船体はスプルーアンス級駆逐艦をベースとしていますが、まるで巡洋艦のような艦容です。
同型は1970年代にイランへ輸出するためにアメリカで建造されたものの、1978年に始まる同国の革命で輸出計画は破談。その後アメリカ海軍で使用された後、2006年に台湾で基隆級驅逐艦として再就役しました。台湾海軍は近い将来国産のイージス艦によって代替する、と発表しています。
同じく基隆級駆逐艦の馬公。
退役済みの戦車揚陸艦中海(旧USS LST- 755)。第二次世界大戦中の1944年にアメリカで就役し、48年に国民党政府に引き渡された超旧式の戦車揚陸艦です。艦番号が消されているので、退役済みと思われます。
振り返ると荒れ模様の高雄港。
廃艦ばかりの寂れた高雄の艦艇ですが、近いうちに更新が始まる予定、ということで今後に期待です。
撮影も終わったのでお土産のパイナップルケーキ買って、日本へ帰るだけ…
…のつもりでしたが、今回はちょっと寄り道。船着き場の近くに珍しい装いの人々がいたからです。少なくとも台湾の民族衣装ではない…はず。
人の流れを追ってみると、そっち系のイベントを近くでやっていたようです。
台湾では日本のエンターテインメント作品をACGN(Animation、Comic、Game、Novel)と括り、若年層から高い人気を得ています。
ただ過熱気味なのか、翌月に台北のイベントに参加する予定であった日本人声優に、殺害予告を出される騒動もありました。このニュースが報じられたのは、まさに私が台湾にいた時のこと。
日本人が入っていいのか不安を感じずにはいられませんでしたが、台湾のACGN人気を知るまたとないチャンスでもありますから、見学して参りました。幸いトラブルに巻き込まれずに済みました。
狭い会場にたくさんの人。日本の同人誌即売会にならったものでしょうか。
深夜アニメ色が薄いイラストも。
帰りの飛行機に持ち込むには、ちょっと恥ずかしい紙袋。
最後に、台湾の書店で1枚。習近平主席と川普(トランプ)次期大統領が並ぶ雑誌です。
2016年11月末ごろの台湾の雑誌では、トランプ氏について「狂人総統的下一歩?(狂人大統領、次の一歩は?)」、「美国総統、蔡英文最強對悍手(蔡英文は最もおぞましいアメリカ大統領と向き合うこと)」と紹介。日本と同様、台湾もトランプ氏の言動に戦々恐々としていたようです。
ところが、翌月12月5日にトランプ氏と蔡英文総統との電話会談が公表されたことで、トランプ氏が台湾の独立性を重視していることが明らかになりました。今後台湾ではトランプ氏の評価も変わるのかも、しれません。
一方の中国は電話会談の公表に猛反発。来年の両岸関係に一波乱が起きそうです。
台湾の明日はどっちだ。
おまけhttps://www.youtube.com/watch?v=HirI3ytzPZU
黒電話と核爆弾に注目。
参考
行政院海岸巡防署軍事設備列表
https://zh.wikipedia.org/wiki/%E8%A1%8C%E6%94%BF%E9%99%A2%E6%B5%B7%E5%B2%B8%E5%B7%A1%E9%98%B2%E7%BD%B2%E8%BB%8D%E4%BA%8B%E8%A8%AD%E5%82%99%E5%88%97%E8%A1%A8
中華民國行政院海岸巡防署 海巡艦艇紹介
http://www.cga.gov.tw/GipOpen/wSite/public/Attachment/f1259487478664.pdf
自由時報 小英出席動漫祭 民眾興奮大喊:霧島!霧島!
http://news.ltn.com.tw/news/politics/breakingnews/1589471
T-75 20毫米機砲
https://zh.wikipedia.org/wiki/T-75_20%E6%AF%AB%E7%B1%B3%E6%A9%9F%E7%A0%B2
NavSource Online: Amphibious Photo Archive USS LST-755
http://www.navsource.org/archives/10/16/160755.htm
声優・水瀬いのりさんに殺害予告 恐喝容疑で台湾在住の男を書類送検 中央社フォーカス台湾 11/25(金) 19:00配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161125-00000007-ftaiwan-cn
コメント
そしてマナー広告にも2次元の波…台湾始まってるなw
イージス艦、てイージスシステムはアメリカが出せないだろうし、多用途レーダーを4面に配置した防空艦を作るということなのだろうか。
そうなると、ドイツオランダ、イタリアフランスイギリス、イスラエルのどこかと組んで作るのかな?
VLSの開発が難航してるようで、天剣2型の艦対空ミサイル型もVLS搭載を諦めたようだし、どうなることやら。
前も書いたけど、純粋な防空システムとしてならPAAMSみたいなのが旧式が多い台湾としては気楽な気がする。
それはそうと、台湾のイベントも凄いな
台湾でも横須賀の様に港内をクルージング出来るのですね。
考えすぎかやはり大陸のスパイが・・・と思ってしまします。
※3氏
空白期間が長いですよね。 換えると言っていた康定級フリゲートも未だ対空ミサイルはシーチャパラルのままですし。 一時期?未だ?関係が拗れているのかイスラエル辺りがレーダーとバラクを専用VLSも含めて売りそうですね。
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