台湾空軍清泉崗基地營區開放・後編
文・写真:nona
後編では地上展示の航空機や車両を紹介いたします。
地上展示のF-CK-1複座型。
F-16A。
展示機に搭載されてていたミサイルはAIM-9MとAIM-120です。
これはALQ-184電子妨害装置。
地上展示のミラージュ2000-5。
R550マジック2型赤外線誘導空対空ミサイル。説明書きには「魔法飛弾」と書かれていました。
MICA-IFアクティブ誘導式空対空ミサイル。
台湾空軍の戦闘機の空対空ミサイルについて F-CK-1では天剣シリーズ、F-16はAIMシリーズ、ミラージュもR550とMICAと、使用される兵器に統一性がありません。用兵側の多大な苦労が窺えます。
F-5E戦闘機。台湾空軍においてF-5はほとんどが退役済みですが、一部の機体はアドバーサリー機(アグレッサー機)として用いられていました。この機体も中国戦闘機を模しているようです。
部隊マークはアメリカ海軍NFWS(トップガン)のそれとよく似ています。
AT-3自強。これはサンダータイガースの使用機です。
T-34C練習機。T-34練習機のエンジンを、レシプロからターボプロップに換装した機体です。
F-CK-1試作機。清泉崗基地に隣接するAIDC(漢翔航空工業)にて、新装備の飛行試験に用いられてるものと見られます。
中山科學研究院が開発した「騰雲」大型無人機。MQ-9無人機に酷似していますが、いつの間にこんなものを作ったのかと、感心させられます。やはり中国本土の偵察が目的なのでしょうか。
「銳鳶」無人機。180 km/h、滞空時間は10時間。初飛行は2002年で、32機が導入されました。昔アメリカが使用していたRQ-2パイオニア無人偵察機やベースとなったイスラエルの無人機に似ています。
日本ではそれほど珍しくないP-3C。しかし台湾が導入が開始されたのは2013年のことでした。
P-3Cの部隊マーク。
S-2Tターボ・トラッカー。日本では30年以上前に退役した旧式の哨戒機です。P-3Cの導入で全機退役したものかと思っていましたが、まだに生き残りが…
S-2は元々艦上哨戒機でしたから、磁気探知機は胴体引き込み式です。ソノブイキャニスターの位置もユニークですね。
C-130H。台湾ではハーキュリーズを「大力神」の愛称で20機保有しています。
E-2Kホークアイ。台湾ではE-2BをC型相当に改修した機体を1995年にE-2Tとして導入し、2011年にはホークアイ2000規格に改修した機体をK型として、6機運用しています。性能はともかく、機体はかなり古そう。
台湾の数少ない最新兵器のAH-64E、アパッチガーディアン。台湾では30機保有しています。日本では中途半端な形で終わったAH-64Dの調達でしたから、これは羨ましい。
E型ではエンジンがT700-GE-701Cから701Dに換装され、アビオニクスのみならず、飛行性能も大幅に向上しています。
AH-64Eの武装。レーザー誘導式とミリ波レーダー誘導式のヘルファイア、70mmロケット、スティンガーATASを混載。きっと強いに違いない。
こちらはAH-1Wスーパーコブラ。1993年から60機ほど調達されました。比較的若い機体なので、AH-64Eと併用されるようです。
対戦車ミサイルはヘルファイア。
それにしても台湾陸軍の攻撃ヘリ火力はすごい。数と質の両方で陸上自衛隊を凌駕しています。ただし全機が輸入機につき、部品供給の問題がありそうです。稼働率にも影響があるはず。
UH-60Mブラックホーク。AH-64Eと同時期に調達が始まった機体で、エンジンも共通です。ただし、機首のミサイル警戒装置用らしき穴はふさがれています。
UH-60Mに装備されたT74-7.62mm機関銃。FN-MAGがベースですが、レールシステムと二脚が増設されています。
AS 365ドーファン2救難機。内政部(内務省)空勤総隊の所属機です。
同じく内政部(内務省)空勤総隊所属のUH-60M。
海軍所属のユーロコプターEC255海上救難機。2012年に導入された新型機です。
M60A3戦車。旧式の戦車ですが、アメリカは台湾への供給を1994年まで渋ったため、その間に台湾はM48+M60のハイブリッド戦車であるCM11戦車、M48戦車の改良型であるCM12戦車の改造を施しています。陸自以上に新しい装備が入らない台湾陸軍ですが、改造はOKの模様。
全体的に丸みがあるM60戦車。車体の曲面は地雷の爆風をそらしたかった、という話です。
M88戦車回収車。台湾陸軍では今年8月、CM11戦車が川に転落する事故が起きていますが、その現場写真にも、この車両が写っていました。
戦車橋。車体はM48戦車(?)のようです。
ホイールローダー。滑走路に空いた穴など修復するために使用するもの、と思われます。
CM32雲豹裝甲車。2007年から調達の始まった国産装甲車です。多くのバリエーションがありますが、これは兵員輸送車型。
Wikipediaによると前面装甲は30mm機関砲弾に抗堪し、側面も12.7mm重機関銃に耐えうる装甲を備えている、とのこと。さらに車底も地雷対策でV字底になっています。
武装はRWSに搭載されたT91-40mmグレネードランチャーとT74-7.62mm機関銃。強そう。
M113装甲車によく似たCM22装甲42迫砲車(107mm迫撃砲車)。
車内はこんな感じ。
RT-2000(サンダーボルト2000)自走ロケット砲。RT-2000は口径の異なる3種類の誘導ロケットを装備可能で、写真では180mmのロケット弾(射程30km)の模擬弾を27発搭載しています。
RT-2000の弾薬輸送車。227mmロケット弾を搭載しています。
2015年に導入が始まったという除染車。
アヴェンジャー地対空ミサイルシステム。93式と同様に発射機は遠隔操作も可能ですが、発射装置に人員を置くことも可能です。
右側キャニスターには12.7mm機銃も装着されています。これはM3P-12.7mm機関銃で、M2重機関銃の連射速度を2倍に強化した派生型。でも役に立つかは不明。
麻雀飛弾こと、MIM-7スパロー地上発射機。説明版によると射程は16km。
エリコン35mm連装機関砲。射程は4km。
天兵雷達こと、スカイガードレーダーシステム。上記のスパロー発射機1基と35mm連装機関砲2基を制御します。最大探知距離は22キロ。レーザーおよび光学照準機能も有し、電波妨害下でも機関砲の統制が可能です。
ハンガーでは基地所属の隊員による書道、絵画、漫画、写真作品が展示されていました。空軍は文武両道。
絵が上手い人が空軍に沢山おります。羨ましい限り。
なお、予期していなかったことですが、会場に蔡英文総統が出席されていました。写真は会場を後にする総統一行の車列です。日本の総理大臣すら一人も見たことがないのに(たくさんいるのにね)
次回は台南市の飛虎将軍廟を紹介いたします。
参考
戦闘機年鑑2015-2016(青木謙知 ISBN978-4-86320-975-6 2015年3月30日)
世界の航空機 1 最強のジェット戦闘機(デアゴスティーニ編集 青木謙知監修 ISBN 978-4-06-256754-1 2004年8月25日)
www.storm.mg 空軍清泉崗基地26日「見光」 蔡英文首度參加營區開放<http://www.storm.mg/article/192796>
AFP通信 2016年08月16日発信「戦車が川に転落、兵士3人死亡 台湾」
< http://www.afpbb.com/articles/-/3097647>
即時新聞 【帥翻片】蔡英文首度主持空軍清泉崗營區開放 向全民推銷募兵
<http://m.appledaily.com.tw/realtimenews/article/politics/20161126/998096/%E8%94%A1%E8%8B%B1%E6%96%87%E9%A6%96%E5%BA%A6%E4%B8%BB%E6%8C%81%E7%A9%BA%E8%BB%8D%E6%B8%85%E6%B3%89%E5%B4%97%E7%87%9F%E5%8D%80%E9%96%8B%E6%94%BE%E3%80%80%E5%90%91%E5%85%A8%E6%B0%91%E6%8E%A8%E9%8A%B7%E5%8B%9F%E5%85%B5>
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コメント
陸というか自衛隊全体のヘリは後継機体もさることながら現用の機体もお値段が高いんですよねぇ(オスプレイ以外でもシーホークの新型とかは中々
まあ攻撃ヘリというジャンル自体、携SAMの発達と安価化によってアレな事になってるのもあるのですが
後日、スティンガー単体でも売却可になったそうだけど。
イージスアショアなりミサイル防衛システム導入してしまえ
M1A1戦車購入理由が他の車両だと予算が足りないなんて言う国なので勘弁してあげてください…
にしてもマジック2型ミサイルなんて日本の周りだとなかなか見れないからけっこう新鮮。Rから始まってるから一瞬ロシア系かと思ってしまったw
F-5EとかS-2Tとか古い機体を使ってるな~ とか思ったけど、両方とも世界ではまだまだ現役なのが多いのね。
独自開発含めて更新・改修を次々やる日本ってなんだかんだ言いつつもやっぱり恵まれた大国なんじゃね?(攻撃ヘリ部隊は・・・ まぁ、ね・・・)
サイズ的には、K1あたりがいいんだろうから、M1A1もとに、少し軽めの戦車なんて作れないかしら。
M1エイブラムスの軽量化はM1A3が全然進まない時点でね・・・
そこで我が自衛隊の10式の劣化版(120mmをラインメタルか105mmに、足回りや電子機器、装甲をグレードダウン)を作れば多分5億円くらいとM1A1と同じくらいで・・・
出来たらいいのにな~(´・ω・`)
いや、実際地盤が弱く起伏が激しくインフラが弱いアジア諸国で一番求められているのは10式のような戦車だと思う。
政治的に難しいけど、なんとか出来たら買い手は結構いると思うのにな~
M1A3なんてありましたねぇ(白目)
ただ、北朝鮮の戦車相手ならK1みたいに105mmでいいと思うんですが、PLAの98式or99式相手は120mmないと辛そう。
05式水陸両用戦車相手なら105mmで十分ですけどね。
これからのトレンドは、T-14や10式みたいに軽量化+可能なら無人砲塔になっていくかもしれませんね。
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