第63回 館山航空基地の今昔
海上自衛隊編

文:nona

 後編では自衛隊基地内のSH-60Kハンガー、管制塔、厚生センターのレポートとなります。ンターのレポートとなります。

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 今回は現役パイロットさんからSH-60Kのお話を伺うことができました。

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 SH-60Kは自衛隊で2005年から運用されているSH-60Jをベースとした哨戒ヘリコプターです。

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 機首。レーダー、FLIR、レーザー目標指示器、ミサイル警報装置など、センサーの塊です。さらに座席には5mmほどの防弾板が側面に装着されています。

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 これはピトー管。残念なら機関銃ではありません。

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 ディッピング・ソナー。HQS-104。なお海中では低周波を打てるよう発振器は縦長に伸長し、受信アレイも精度向上のため、聴音機が傘のように開く構造となってます。

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 フレア発射機。下方を向いています。

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 一方のチャフランチャーはななめ上、テールローター方向を向いています。これはテールローターでチャフを吹き流してもらうための措置とのことです。チャフは右に拡散させてくれるので、回避機動もそれに合わせたものになるようです。

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 フライトデータレコーダー。

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 「危険ではありません。もしこれを拾ったら最寄りの自衛隊へご連絡ください。」とはいうものの、知らない人が見れば不発弾か何かにも思える品。

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 なお機体は整備の途中で、割と汚れています。

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 スミ入れとウォッシングを施したようなしたような趣。

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 ハンガーにあったもう1機のSH-60Kは納入直後の新品でした。奇麗ではありますが、作りかけのプラモデルのような風合いですが。

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 洗機中のSH-60(たぶんJ型)。真水で海水や塩類を流していました。この作業は航海中も欠かさずに実施されます。

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 UH-60J救難ヘリコプター。SH系と比べ、メインローターの折りたたみ機構がない、尾輪が後方に寄っているなど機体構造に違いがあるそうです。この機体は昨年10月の観艦式の予行で急患を横須賀へ搬送した機体(8963)と同一のようです。

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 急患者を乗せて横須賀基地に着陸する8963号機。

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 このほか運用を終了した機体は、基地の入り口で展示されています。写真はS-61A。南極観測に用いられたヘリコプターです。

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 SH-60Kハンガーの見学の後は管制塔を見学できました。本当に見学できるとは思っていなかったので、びっくりです。(イベント時も開放しているそうですよ。)

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 こちらは管制塔から撮影した写真です。なお業務中につき塔内の設備、隊員さんの撮影はNGでした。

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 館山航空基地の滑走路は非常に短く、回転翼機限定の飛行場になっています。日本海軍時代はもう少しだけ長く、96式陸上攻撃機や零式艦上戦闘機、戦争末期には陸上哨戒機の東海も運用されました。

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 なお管制塔内には冷蔵庫、ポット、電子レンジが置かれています。これも長時間任務の為に必要なもの(?)

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 最後に厚生センター(売店と食堂)あたりの写真を。厚生センターのカレーなので本物の海軍カレーとは異なるようですが。

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 厚生センターのおみやげコーナー。「自衛隊の塩セット(5種共にカレー味)」「入浴剤・海国乃湯(護衛艦ひゅうがレッドペッパーの湯)」。レッドペッパーの湯は局部が大変なことになりそう。(売れているようですが)

 これで館山基地の見学は終了です。

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 なお時間調整で館山の道の駅を物色していたら、隣の資料館に興味深い展示品がありました。焼玉エンジンです。独特な駆動音から搭載船はポンポン船とも呼ばれました。

 キャプションによると大正期以降にディーゼルエンジンの普及で姿を消した、とありますが、太平洋戦争によって再び日の目を見ることになります。

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 こちらは捕鯨砲。英語ではHarpoon。ハープーンミサイルの語源です。現在では館山市では捕鯨はされていないものの、隣の南房総市を始め全国5箇所で沿岸捕鯨が継続されています。

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 こちらは戦後型の50mm捕鯨砲。弾体が海面にあたった際に跳ね返るのを防ぐため、平頭銛という特殊な銛が使用されています。発想はまさに水中弾。

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 こちらは35mm二連式捕鯨砲。沿岸捕鯨用で用いられるそうです。小ぶりですがインパクトは抜群。

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 押送船(おしょくりぶね)。生魚を江戸の魚市場へ送るため、帆走と櫂走を同時に行う快速の和船です。館山と江戸を10時間で結びました。館山から、日本橋魚市場までの距離は約80kmなので、押送船の時速は約8km(4.3ノット)ほどでしょうか。

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 ジェット船(ボーイング929ジェットフォイル)なら押送船の10倍の速度で東京と館山を行き来できます。私もジェット船に乗って東京へ戻りました。(本当は往路でも使用しましたが、悪天候で写真が撮影できませんでした。)

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 キャビン。座席は指定制で原則シートベルト着用です。

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 ジェット船の仕組みなど。

 国内のジェット船は、初期に導入されたボーイング製のものと、1989年以降に川崎重工でライセンス生産されたものがあり、2006年には20隻が国内で就航していました。[1]

 ただし持続的な需要がないため、川崎重工での生産は20年前に終了。川崎重工は再生産に最低5隻の受注が必要としていますが、船会社側は一括更新する余裕がなく、後継船問題に直面しているようです。ジェット船の明日はどっち?[1][2]


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 船窓から見える護衛艦。あめ型かなみ型のどちらか。

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 第一海堡。

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 海堡の側面。遊覧船ではないので近くまで寄ってはくれませんでした。

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 東京湾アクアライン。神奈川県川崎市と千葉県木更津市をトンネルと海上橋で結んでいます。

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 JAL機とANA機でしょうか。

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 東京港の入り口で。スカイツリーの手前は東京ゲートブリッジ。

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 船の科学館に係留されている南極観測船宗谷。

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 ピントがぼけましたが、レインボーブリッジ。

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 今回のレポートはこれにて終了です。ありがとうございました。


出典・参考資料(WEBサイトは2016年4月10日に閲覧)
[1]川崎重工株式会社船舶海洋カンパニー ジェットフォイルは、なぜ、“海を飛ぶ”のか?
[2]乗り物ニューズ 海を飛ぶ高速船ジェットフォイル、消滅の危機 災害時に有用も