第50回 イベントレポート
陸上自衛隊広報センター・スプリングフェア
文:nona
今回は輸送防護車が一般展示されるということで、朝霞駐屯地・陸上自衛隊広報センターに参りました。(でも記事の半分は「食」の話)
http://www.mod.go.jp/gsdf/eae/prcenter/ibenntojyouhou/image/27Nendo/3/MRAP.gif
(掲載期間終了によるリンク切れの可能性あり)
ぴあ (2016-03-04)
売り上げランキング: 4,260
陸上自衛隊広報センターは東京都と埼玉県の境、朝霞駐屯地にある陸自の広報施設です。入場は無料。この日は広報センター内でちょっとしたイベントがありました。
広報センター内。所狭しと並ぶ兵器。ただし今は後回し。
こちらが輸送防護車こと、ブッシュマスター装甲車。いわゆるMRAP(Mine Resistant Ambush Protected)ですが、製造元のタレス・オーストラリアではPMV(Protected Mobility Vehicle)と定義しています。
ちなみに「輸送防護車」でgoogle検索すると、Wikipediaに次いで2番目にこの「軍事系まとめブログ」がヒットします。そのすぐ下は某氏の記事ですが。
スペックシート。重量約15t、全長7.18m、全幅2.48m、全高2.65m。用途は海外での邦人等の陸上輸送。
https://www.thalesgroup.com/sites/default/files/asset/document/prv_bushmaster_a4_200815_web.pdf
こちらは製造元のタレス・オーストラリアが公開したスペック表。2008年に公開された資料です。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&ved=0ahUKEwie0_y5k67LAhXnHaYKHafkB2gQFggbMAA&url=https%3A%2F%2Fwww.defensie.nl%2Fbinaries%2Fdefensie%2Fdocumenten%2Fbrochures%2F2006%2F07%2F31%2Ffactsheet-bushmaster%2Ffactsheet-bushmaster.pdf&usg=AFQjCNGIbFoVGHT7VNzqkcnqhiH7T2QUtg&bvm=bv.116274245,d.dGY&cad=rja
さらに別資料では防御力に関する記載も。
・7.62mm弾防御(標準装備)
・7.62mm徹甲弾防御(オプション)
・155mm榴弾砲の爆風と破片防御(オプション)
・モノコックハル構造によるハイレベルのIED防護(標準装備)
・炸薬8kgまでの対戦車地雷からの防御(標準装備)
こちらの資料も2006年公開と若干古め。自衛隊が購入したものとは仕様が異なるかもしれません。
輸送防護車の正面から背面まで
下面からのIED(仕掛け爆弾)の爆発を受け流せるように、車底はV字型になっています。
爆発を逃がす様子。(イメージ図)
オーストラリアの不思議な迷彩カバー。
容量300Lの燃料タンク。さらに防御区画内に19Lの予備タンクもあります。航続距離は最大800km。
装甲よりも厚い防弾窓。ちなみに右ハンドルです。(オーストラリアが右ハンドル国、とのこと)
輸送防護車の展示会場の後ろには野外炊具が並んでいました。
野外炊具何号だろう。
ここで作られていた料理はカレー(250円・食券制)でした。
ベースはS&Bの業務用カレー粉と
バーモントカレー(?)
そして鉄帽も。
こちらは館内に展示されていたレーション。
メニューその1。「中華風カルビ」。中身は白飯+赤飯+中華風カルビ+ウインナー。ちなみにカルビは朝鮮語。あくまで中華「風」です。
白飯+五目飯+かつおカレー煮
白飯+山菜飯+さば味噌煮
白飯+ドライカレー+トマト煮
白飯×2+さんまピリカラ煮+(なぜか)コーンスープ
白飯×2+さんま蒲焼+海苔
白飯+ドライカレー+野菜麻婆
白飯×2+ハヤシハンバーグ+あぶり焼きチキン
白飯+五目チャーハン+肉団子。チャーハンライスかぁ。
白飯×2+豚角煮+海苔
白飯×2+豚しょうが焼き
白飯×2+かも肉じゃが+さば生姜煮。関東風の豚肉じゃがでも関西風の牛肉じゃがでもない、まさかの鴨です、はい。
白飯×2+とり野菜煮+炭焼きチキン。うーん・・・鶏肉がダブってしまった。(白飯もダブってますが)
白飯×2+チキントマト煮+コーンスープ
白飯×2+ビーフシチュー+(なぜか)海苔
白飯×2+ウインナーカレー+炭焼きチキン。
「あぶり焼きチキン」と「炭焼きチキン」の違いですが、防衛省がPDFで公開しています。
陸上自衛隊仕様書
HQ-N170098G あぶり焼きチキン
HQ-N170092G 炭焼きチキン
白飯+山菜飯+ポークソーセージステーキ
小型乾パン+ウインナーソーセージ+ツナサラダ。ご飯を温める余裕がないときに。
戦闘糧食Ⅰ型。とり飯+赤飯+ウインナーソーセージ+コーンドミートベジタブル+たくあん。Ⅰ型は絶滅危惧種です。アフターマーケットの価格も今後は高騰するのでしょうか?
こちらは朝霞駐屯地の駐屯地食のリスト
リストその2
ここからは朝霞駐屯地の振武臺記念館(陸軍予科士官学校の皇族舎)と陸上自衛隊広報センターの常設展示のレポートです。
広報センターの北村三曹によると、朝霞駐屯地は昭和16年から終戦まで陸軍の予科士官学校があり、振武臺記念館は当時の資料を展示する資料館になっている、とのこと。この建物自体は戦後に神奈川県座間市から移設されたものです。
なお朝霞に士官学校が移設されるにあたって、皇族方が学ばれるのに周辺警備が埼玉県警では…、ということで、県境をいじって皇族舎の敷地が警視庁の管轄となるように変更されたそうです。そんな訳で朝霞駐屯地の所在は今でも東京都練馬区です。
振武臺記念館に置かれた九九式十糎山砲。日中戦争で鹵獲したフランス製105mm榴弾砲を元に、分解輸送できる山砲に改良した榴弾砲です。最大射程7km、有効射程は4km。通常は馬2頭で移動できるものの、山道では分解のうえ、10頭の馬が必要です。
振武臺記念館の内部。館内は特殊な寄贈品も多いため、撮影はNG。
ちなみに以前は牟田口廉也の軍服が展示されていたそうですが、「奴の服を展示するとはけしからん」とクレームが入ったそうで、今は非公開になっています。そんな彼は陸軍予科士官学校長を2回も務めるなど振武臺記念館に縁深い人物。
もっとも2回目の就任理由は、インパール作戦後の失敗によって戦闘職を解任された為、というもの
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%9F%E7%94%B0%E5%8F%A3%E5%BB%89%E4%B9%9F#/media/File:Mutaguchi_Renya.jpg
牟田口廉也校長。
常設展示については、もう皆さんもご存じかと思うので、ここではさらっと。
対クワイエット戦兵器。
AH-1Sコブラ。
コブラのガンナー席。
AH-1シミュレータ。
90式戦車。
90式戦車砲手用照準潜望鏡。84年製とあるので試作車のものでしょうか。ハンドルは砲操作用。レーザー検知器のランプが9時の方向から3時の方向までしかありません。後方は死角?
戦闘防弾チョッキ。1992年配備開始。重量4kg。
防弾チョッキ2型。2003年配備開始。重量12kg。
防弾チョッキ2型の裏側。1.5cmほどの防弾プレートが入っています。
陸上自衛隊の歴史インフォグラフィックス。
戦車1200両の時代もありました。
ちなみに2015年3月時の保有数は690両(平成27年度防衛白書資料34 戦車、主要火器などの保有数より)。戦車定数300両とは言いつつも、予備用やら訓練用に相当数の戦車が残っているようです。流石に広報センターの戦車は員数外でしょうが。
参考文献・WEBサイト
Thales Bushmaster PRV.pdf
factsheet-bushmaster.pdf
陸上自衛隊広報センター
振武臺記念館
イカロス出版 (2016-04-15)
売り上げランキング: 117,319
コメント
陣笠の文化は自衛隊にも受け継がれてたんでつね
ごつごつ感が好きだわ
96式が小さいだけだよ。
8×8の装輪式なら普通は車体長が7m以上だし。
しかも野外にあるのに保全状態も完璧だし最高だったな
(なお駅からだいぶ歩くもよう....もっとも鹿児島空港→鹿屋史料館に比べれば何でもないけど...電車無さすぎぃ!)
後公報センター前T字路の狭い角を大型トラックでぶつからずに曲がる練度に感動したな
でスポールライナーの件で間違いを指摘されたりの流れがあったような。
話が変わるけど炭火焼きチキンは、炭火焼きと言うけど、ただ後から炭をまぶしたような味なんだよな・・・。
これを清谷に使いたいです。
軽く調べてみると清とかよくわからん軍事ジャーナリスト()が批判してるからそれに釣られたと思われる。右ハン250cm以内MRAPだとこれが丁度いい。
要約「気にすんな」
館長が施設科の1佐で副館長が機甲科の2佐だった。補佐で防衛省の幹部事務官がいて、なかなか見る事の出来ない階級の世界だったw
そんなおいらは1等陸士、士官>下士官>兵と人数構成が全く逆の場所だった。
当時は90式は上に登れなかったのだが、今は登れるようになったんだね。でも操縦席の広さを見せたら装甲厚とかが分かってしまいそうなのだが?
バーモントカレーは伝統にしてもいいんでしょうかね?
2様
右ハンドルも採用の決め手だったんでしょうかね。
他のMRAPやIMVにも右ハンドルのオプションもあったとは思いますが。
3様
再検索したところ、清谷先生の記事が上昇していました。
4様
輸送防護車ですが、それほど大きい感じはありませんでした。
5様
wikipediaに「海外の性能類似車両との比較」という比較表がありますね。
6様
調べてみました、あれは中帽というのですね。
ご指摘ありがとうございます。
7様
確かに駅からは若干遠いですね、朝霞の広報センター。
ただバスも本数が少なかったので、結局歩いて往復しました。
先任伍長様
白米多いですね。脚気になりそうです。
対策はされているかと思いますが。
9様
私の見学時も何枚かアニメのポスターが貼られておりました。
ただ館内は子供向けの科学博物館といった雰囲気のままでした。
10様
輸送防護車の導入について
防御力に関係なく、道交法に適合しコンパクト、という理由で選定された
という風潮があります。
その辺りが批判の対象になるようですが...
11様
清谷氏は輸送防護車自体について
「自体は優れた耐地雷装甲車である。また実戦を通じて多くの改良もなされている。そのことに異論はない。」
とむしろ褒めていますね。(7.62mm弾防御の点以外は)
12様
EXTREMEのクワイエットは命中前に避けて非殺傷攻略にならないので、
結局後ろから殴って倒しました。
13様
清谷先生は基本的に
「自衛隊の〇〇の装甲は☓☓の攻撃に耐えられない」
という記事が多いので、何かと話題になりますね
14様
軍事ジャーナリストにも様々な方がいらっしゃるので...
15様
お勤めご苦労さまです。
広報センターの北村三曹も若い隊員がいない、とおっしゃっていました。
移動献血のスタッフが駐屯地に入ると、中年の隊員の多さに驚く、とのことです。
次こそは…!
コメントする