【【読者投稿】日本海軍、地中海を往く 第5回 警戒を厳にすべきこと】の続きを読む日本海軍、地中海を往く 第5回 警戒を厳にすべきこと
文:nona
1917年4月4日朝6時、スエズ運河を通過した第二特務艦隊は、運河の北の河口にあるポートサイドへ入港します。ポートサイドはスエズ運河の開通に合わせて遠浅の海岸に作られた人口の港。スエズ運河を通過する船舶はもちろん、スエズマックスを超える大型船の中継貿易港としても、大戦中にもかかわらず大いに賑わっていました。[1-1]
また日本人も多く進出し、「南部商会」のように食糧やその他の補給を請け負ってくれる商社や[2-1]日本の品を扱う商店もありました。[1-1]
http://www.searlecanada.org/misc/photographers.html
ポートサイドの街並み。年代は不明。
タグ:nona
【読者投稿】日本海軍、地中海を往く 第4回 サイダーを葬る
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文:nona
3月20日にコロンボを出港した第二特務艦隊、3月21日の春季皇霊祭(春分の日)から「ジグザグ」航法の練習が始まるものの、まだまだ緊張感は薄く、片岡中尉も転舵の様子を見て「酒も飲まないで千鳥足」[1-1]と記しています。
さらに22日には速力を12ノットに引き上げ、暫時18ノットまで増速訓練を実施しますが、この時に燃料を石炭から重油へ変えたことで、幸運にも上甲板が石炭の煤煙から免れることになりました。さらに24日からは英国式手旗信号の練習やライフジャケットの支給など、地中海を目前にして各種訓練も進められました。[1-1]
一方、22日に松の酒保(艦内売店)にあったサイダーが遂に売り切れてしまいました。片岡中尉いわく「熱帯航行で水分を多量に要することは言うまでもない。飯を喰う、サイダー1本。当直から降りる、シトロン1本。話しに花が咲く。また1本。」と松の乗員はフタを開けていた様子。[1-1]
www.amazon.co.jp/dp/B007CXNP46
第二特務艦隊の調達記録にある有馬サイダーの復刻版「てっぽう水」
【読者投稿】日本海軍、地中海を往く 第3回 飛魚とスコール
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文:nona
出港直後の時化を乗り越えた第十一駆逐隊、1917年2月22日の朝に最初の寄港地である、イギリス領香港へ入港します。当時から香港には多くの西洋建築があり、片岡中尉も「本場を見てこないものには、これでも西洋へ行ったような気分」[1-1]と記しています。
第十一駆逐隊は香港に2泊し、燃料、清水、若干の食糧の積み込みと乗員の陸上散歩を実施。片岡中尉も初日の夕方に観光に繰り出し、今でも香港名物として知られる二階付の路面電車香港トラムで街を巡り、ケーブルカー(ピークトラム)でビクトリアピークからの眺望を楽しんでいます。[1-1]
https://www.hktramways.com/en/our-story/
1910~20年代の香港トラム
【読者投稿】日本海軍、地中海を往く 第2回 出港は公然の秘密
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文:nona
1917年2月10日に閣議決定された日本海軍艦艇の欧州・地中海派遣。海軍では一足早く2月7日に第二特務艦隊の編制を決定していました。[1-1]
旗艦 巡洋艦明石(1898年進水、排水量2800トン、速力19.5ノット、兵装:6インチ砲2門、4.7インチ砲6門、小口径砲12門、魚雷発射管4門)[2-1]
第十駆逐隊樺型駆逐艦 梅、楠、桂、楓(1915~1916年進水、公試排水量665トン、全長82.29m、全幅7.32m、速力30.0ノット、兵装:12センチ砲1門、8センチ砲4門、魚雷発射管2基4門)[2-1]
第十一駆逐隊樺型駆逐艦 松、榊、杉、柏(第十駆逐隊と同型)[2-1]
日本海軍地中海遠征秘録よりP58
第二特務艦隊の初代旗艦となる巡洋艦明石。右上は三宅大太郎艦長。
【読者投稿】日本海軍、地中海を往く 第1回 日英同盟
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文:nona
今回の連載は第一次世界大戦中に地中海で活躍した日本海軍の「第二特務艦隊」がテーマです。マルタ島を母港とした第二特務艦隊は1917年2月から終戦までの期間、神出鬼没のドイツ潜水艦から連合国船舶を守るために出撃し、384回の護衛任務で809隻の艦船と70万人の兵員を見守り、さらも沈みゆく船から7075名を救助する活躍を成し遂げしました。
残念なことに戦訓を次の大戦で生かしきれず、歴史に埋もれることになりましたが、彼らの日本出港から100年を迎えようとする今、再び第二特務艦隊の秘話を繙いて参ります。
日本海軍地中海遠征秘録P75より
マルタ島バレッタ港に展開する旗艦出雲と桃型駆逐艦。