令和4年度 航空自衛隊 百里基地航空祭

文・写真:nona


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2022年12月4日に開催された百里基地航空祭にお邪魔しました。
 2019年の開催以来3年ぶりの航空祭ということもあり、装備や施設の一新も実感できる1日でした。

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 今回は開門直後に入場できました。寒くありますが空気は澄んでいます。
 
 背後にうっすら見えるのは筑波山(標高877 m)。百里基地が所在する茨城県の最高峰です。

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 気温が低いことからキャノピーが完全に曇っています。

 飛行機などのプラモデルを組み立てる時も、操縦席の内側でセメダインが揮発してしまうとクリアパーツが曇って、写真の状態になることがあります(涙

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 電源が入っていないと、だらりと垂れ下がってしまうF-2の水平尾翼。

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 三沢基地から飛来したE-2C早期警戒機。空自ではE-2Dの導入を進める一方でE-2Cを退役させており、すでに13機のうち3機が退役しました。

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 地上展示品として公開されたペトリオット・ミサイルのJM902発射機。模擬弾ではありますが、最新のPAC-3MSE弾とPAC-3弾を混載しています。

 PAC-3 MSE弾は従来のPAC-3を大型化し射程・射高を拡大したミサイルです。

 百里基地から最も近いペトリオット高射隊は霞ヶ浦分屯基地に配備されています。百里基地からは25kmほど離れており、部隊を移動させないと従来型PAC-3では弾道ミサイル防衛を提供できまでんでした。

○○○「略語は覚えられない。PATRIOT? PAC-3? MSE? 何の略だ?」

✕✕✕「Phased Array Tracking Radar to Intercept On Target (Patriot)  Advanced Capability 3 Missile Segment Enhancement だ。」

○○○「よし。ペトリでいい。」

△△△「ペトリオットは10億ドルだぞ!援護しろ!」

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 百里基地防空隊の装備も81式から基地防空用SAM(11式)に更新されました。

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 空自ではミサイル発射機を高機動車に搭載します。陸自の11式が発射機をトラック搭載とした点と比べると、ちょっと無理をしているような。

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 射撃管制装置は流石に大型トラックに搭載されます。外観は従来の81式とよく似ています。

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(2019年12月撮影)

 81式は更新されましたが...VADSは後継もなく退役しました。

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(2019年12月撮影)

 某省のPDF文書曰く「20mm対空機関砲については、防衛所要上の重要度が低下したことを踏まえ、令和2年度に運用停止を決定した。」とのこと。

 その文書には176式の20mm機関砲があった、とも書かれています。意外と多かったですね。

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(2019年8月撮影)

 ちなみに、百里基地の資料館に簡易版のVADS-2が置いてありました。スクラップのようになっていましたが。

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 朝日を浴びて飛び立つF-2。航空祭の早朝は気象偵察や外来機の離着陸など、スケジュール表に明記されないフライトがあります。

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 航空祭最初の演目はF-2による編隊飛行。百里基地では2019年から第三飛行隊のF-2戦闘機が配備されています。

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(2019年3月撮影)

 一方、1972年以来配備されていたF-4は、惜しまれつつも2021年3月で退役しました。

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 続いてF-15J単機のフライト。同機は2016年までは百里に配備されていました。航空祭の時などは石川県の小松基地から飛んできてくれます。

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 ここからは百里救難隊によるCSARの展示。U-125Aがレーダー、赤外線カメラ、目視等の手段で遭難者を捜索。

 遭難者を発見したら、目印となるマーカーや救援物資を投下します。

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 さらに、U-125Aに誘導されたUH-60Jが現場上空に飛来。

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 救難員がパラシュートで遭難者の近くに降下します。

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 負傷した遭難者はUH-60Jで吊り上げ救助されました。

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 これまでペアで活動していたU-125AとUH-60Jですが、U-125Aは次の防衛力整備計画で廃止の予定です。

 同じく廃止や削減が予定される陸自の戦闘ヘリコプターや海自のP-1哨戒機とは異なり、無人機による代替も記されていません。

 読売新聞は12月9日に「身に着けた位置情報を知らせる電波受発信機「ビーコン」が作動するなど、ヘリだけでも捜索や救助が可能なことから」と廃止の理由を説明しています。

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 私にとっては3年ぶりのブルーインパルス。

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 午後はF-2単独のフライト。会場内アナウンスの「ブルーインパルスより青いF-2」という言葉が印象に残るのですが、あいにくの曇天で写真の写りがよくありません。

 戦闘機の撮影で曇り空は大敵です。

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 F-2の運動性はかなり優れており、F-15と互角に見えます。航空祭のフライトに限った話ですが。

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 この日最後のフライトは増槽を装着したF-2による模擬対地射撃です。

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 増槽をつけているほうが躍動感があっていいですね。

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 2020年に始まった新型コロナウイルス感染症の流行で自衛隊関係のイベントはほとんどが中止、もしくは一般非公開という時期が続きました。

 しかし、2022年はようやく規制の緩和が進み、イベントも順次再開されています。

 2023年がどのような1年になるかは見当もつきませんが、軍事趣味は細々と続けたく思いますので、どうぞよろしくお願い致します。


おまけ

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エムテックでも戦闘機は操縦できる。