作画:小梅けいと
原作:スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ
監修:速水螺旋人
ノーベル文学賞を受賞したスヴェトラーナ・アレクシエーヴィチの原作を『花粉少女注意報!』シリーズや『狼と香辛料』のコミカライズで有名な小梅けいと先生がマンガ化。
原作は、ジャーナリストであるスヴェトラーナ・アレクシエーヴィチが500人にものぼる第二次世界大戦に従軍した女性や関係者たちを取材した作品です。
まだ原作を読んでおりませんが、非常に興味深い内容でしたのでご紹介します。
戦争は女の顔をしていない (岩波現代文庫)
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スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ
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ソ連軍が第二次世界大戦において、男性兵士と同様に女性兵士を最前線での活動に従事させたことは広く知られています。『狼と香辛料』のコミカライズ、おすすめです。
この作品では、従軍洗濯部隊から狙撃兵や飛行士など様々な兵科の女性兵士の証言が描かれます。
第一巻は七話が収録され、一話につき一人~三人の証言がまとめられています。
時系列はバラバラ、いつどこでそれが起きたのか、状況について説明不足といった従軍記録によくありがちなところはありますが、作画がそれを良く補っていると思います。
非常に興味深く感じたのは、共に従軍し、東プロイセンで戦死した夫を数千キロ離れたベラルーシの家まで連れて帰るため、ロコソフスキー元帥に直談判した軍医の話です。最終的に特別に飛行機を用意してもらい夫の棺を乗せることができましたが、このような感動的な話もあり、少し救われます。
また、男性用の下着しかないと言及するシーンが多く、女性兵士がいろいろ苦労したことがうかがえます。
戦場での女性の証言というと、読む前から「胸くそが悪い」話が出てくるかと身構えるところですが、今のところそこまで酷い話はなく(意図的にカットしているか不明)、声高に戦争反対を叫ぶわけでもなく、小梅けいと先生の素晴らしい作画によって普通に読むことができます。
監修については、ソ連・ロシアに詳しい速水螺旋人先生ということでミリオタにも安心なはずですのでおすすめします。
※アニメイト、COMIC ZIN、ゲーマーズでは購入特典がつきます。
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コメント
それもありましたね。
洗濯部隊みんなに勲章を渡すためリスト作ったりしていい話でした。
全体的にロシア女性は我慢しないで言いたいことは言うみたいな感じですね。
妊娠した女の子の「政治部長代理の出張がなかったらこんなことにならなかったのに……」は「えー」と思いましたけど。
あと仔馬を撃った話は絵柄の描写が印象に残った
「ボタン穴から見た戦争」も漫画化するかな?
原作だと読みづらいと感じても、このコミック版ならと思うのです。
「もし負傷するくらいなら殺してしまってください、女の子が不具にならないように」
ってずっと神さまに祈ってたと告げるシーン胸糞悪くて大好き
戦友としては見られても女としては見られないという悲しさ。
あって前は「こんなもんが製品にふう~ん」という程度だったが、この本の女性洗濯部隊や女性下着の話を知ってからこの製品に対する見方が大きく変わった。
クルド人自治区は中東地域には珍しく男女平等なのと、ISに対抗するため(拉致被害者の多くも帰還後に参戦)その規模も2万人と多い。
オマケにシリア内戦ではラッカ奪還作戦を指揮、主力戦力として活躍している。
イスラム原理主義的には女性に殺されると天国に行けなくなるので恐れられてたとか。
ドイツ人から見れば略奪以外の何物でもないエピソードだけど、なぜだかほっこりした。
「ソ連伝説の女性スナイパーたちはなぜ過去を隠したのか」
という記事がヤフーで転載されていました。
元記事は下記は有料記事の様です。
https://courrier.jp/news/archives/174024/
また女性スナイパーたちの写真をカラー化したというのが下記記事。
http://karapaia.com/archives/52238013.html
Night Swallows(夜の魔女)
https://www.youtube.com/watch?v=MFK9wAOatGE&list=PLto6gEZPjp90EWJbyr1aRK_61FaPBeqeT&index=43&t=0s
ソ連製の戦争ドラマは美人率が高いですな。
逆に言えばそれくらいしか知らないから、他のも調べてみたくはある
シモ・ヘイヘを狙撃した人か。
大尉は笑ってこう言った。
「いやぁ!誰だって君らをかわいいと思うさ。だが戦争が終われば君らとは結婚はしないだろうな。その腕で皿なんか投げられたら命取りだ」
リュドミラさんは41年赤軍入隊だからヘイヘさん撃つのは物理的に不可能では?
そもそもヘイヘさんは乱戦中に撃たれたから誰に撃たれたとか定かでない筈
つまり作中に出てくる人たちは、自分の参加した大祖国戦争について戦後ずっと口をつぐんで生きてきた訳で、本書はそういう無名の女性兵士たちの証言を収録して公にした最初のルポルタージュになります。
作中でも、戦友会から女性兵士の居場所が失われていく様子や、せっかく無事に復員できても「死ぬような目に遭ってまで男漁りがしたかったのか!」みたいなことを言われて肩身の狭い思いをする証言など、戦後の「戦場」で孤独に敗北していく様子が非常にやるせない…。
この『戦争は女の顔をしていない』がコミックになると聞いた時は驚いたけど、コミカライズの布陣がガチ過ぎてさらに驚愕(巻末で監修の速水閣下が荒ぶりまくっている)。
がっつりコミカライズと明記してあるということは、この陰に原作者と交渉して承認を獲得したタフな編集者がいたものと思われ。
ちなみに少し前にヤンマガ系で、リディヤ・リトヴャクが主人公の『白百合は朱に染まらない』というマンガがあって、マイナーテーマを題材によく調べてあるのは好印象だったんだけど、作者の力量が伴わずに2巻で打ち切りに…(リディヤが戦死するずっと以前に、戦友から最初の死者を出すエピソード(史実)で終わるけど、これが実に後味悪い)。
編集者がマズかったのか、作者と読者の情報共有がチグハグなままストーリーが進んで、なんか三国志を全く知らない人が正史や演義じゃなくて後漢書をベースに三国志の話をしてるみたいな、不親切なマンガだった。
女は基本、嘘付くから話なんて聞いても意味ないと言うような圧力が凄かった見たいな話が書いてあった気がする。
検閲されたと言う最初の方とか凄く悲惨な話が多かった。
こう言う話で男側だと酒や女性、食べ物の話になるけど、女性側だと、おしゃれやお菓子とかそう言う視点も多くて新鮮。
そこまで来ると人の心を持ってない、って感じだな。
いきなり原作から入るより一度コミックを読んで世界観が頭にイメージできるようになってから原作に取り掛かる方が頭に入りやすいと思われる。
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