次回の連載について
文:nona
蒸し暑い日々が続いていますが、皆さまはいかがお過ごしでしょうか。当方では次の連載について、かつて世界最大の軍隊であったソ連軍を扱ってみたい、と考えています。
きっかけは前回の連載で空自について調べた際、相手国について学ぼうとソ連軍の資料に触れたことだったのですが、読み深める過程で(火力ポケットに突っ込んでしまったように)ソ連軍にはまってしまいました。
そこで資料も意外と豊富であることに気付いたのですが、情報の多さ故に、どのような切り口で進めるか、迷いが生じた次第です。
そこで読者の皆さま方に、ソ連軍について知りたいこと、ソ連軍について抱いている印象、おすすめの作品や資料、好きなソ連兵器やエピソードなどについて語っていただき、皆さまの意見を参考に、連載の方向性や、あるいは内容の濃淡さを見定めたい、と思います。
ただ、資料の入手性から1960中頃から80年代までのソビエト軍を扱う資料をベースに記事にしたい、と考えています。
以下は連載に先立って収集した参考資料ですが、この他にもおすすめの資料がありましたら、ご紹介をお願いします!90年代に書かれた資料が本当に少なくて困っているのですが、
ソ連の軍事戦略(ギュンター・ポーザー著 郷田豊訳 1979年3月8日)
ミグー25ソ連脱出―ベレンコは、なぜ祖国を見捨てたか(ジョン・バロン著, 高橋正 訳 1982年3月30日)
ソ連軍拡経済の研究 国防の政治経済学(丹羽春喜 1982年12月5日)
ソ連軍の素顔(ビクトル・スヴォーロフ 著 吉本晋一郎訳 4-562-01328-1 1983年2月20日)
ソビエト海軍の全貌 (米海軍省情報部 編 手島尚 訳 1984年1月15日)
ザ・ソ連軍 (ビクトル・スヴォーロフ 著 吉本晋一郎 訳 ISBN4-562-01413-X 1984年11月30)
脅威 ソ連軍事機構の実体(アンドルー・コックバーン著 赤羽竜夫 訳 ISBN4-15-203281-2 1985年4月30日)
続 ザ・ソ連軍 (ビクトル・スヴォーロフ 著 吉本晋一郎 訳 ISBN4-562-01414-8 1985年7月12日)
中ソ国境 国際政治の空白地帯(前田哲男 手嶋龍一 ISBN4-14-008487-1 1986年5月20日)
死の網からの脱出(ヴィクトル・スヴォーロフ著 出川沙美雄 訳 ISBN4-06-202337-7 1986年8月25日)
ソ連地上軍 兵器と戦術の全て(デービッド・C・イスビー著、林憲三訳 ISBN978-4-562-01841-3 1987年1月20日)
ソ連軍事力の徹底研究 最新情報(藤井治夫 ISBN4-7698-0357-5 1987年9月15日)
ミグ戦闘機 ソ連戦闘機の最新テクノロジー(ビル・スウィートマン著 浜田一穂 訳 ISBN4-562-01944-1 1988年7月30日)
ソ連軍 思想・機構・実力(ハリエット・F・スコット 乾一宇/訳 ISBN4-7887-8605-2 1986年3月20日)
the Red Arms ソ連地上軍 写真集(ジャパン・ミリタリー・レビュー編 ISBN4-88050-002-X 1989年3月1日)
ソビエトウイングス 現用ソビエト軍用機写真集(アレクサンダー・M・スーズ著 岡部いさく訳 ISBN4-499-20565-4 1991年4月)
世界の傑作機 No.97 MiG-15 ファゴット MiG-17 フレスコ(湯沢豊編 ISBN978-4-89319-097-0 2003年1月15日)
世界の傑作機 No.126 ツポレフTu-16 バジャー(ISBN978-4-89319-162-5 2005年4月5日)
世界の傑作機 No.110 Tu-95-142 ベア(ISBN4-89319-125-X 2005年7月5日)
ゴルシコフ ロシア・ソ連海軍戦略(С.Г.ゴルシコフ 著 宮内邦子 訳 ISBN978-4-562-04571-6 2010年5月20日)
世界の傑作機 No.172 ミコヤンMiG-25、MiG-31 (文林堂 ISBN978-4-89319-243-1 2016年5月5日)
いまさらですがソ連邦(速水螺旋人 絵・文 津久田 重吾 文 ISBN 978-4-86673-081-3 2018年12月3日)
ソ連海軍の外洋進出とその運用思想に関する一考察(久保正敏 2017年3月)
http://id.nii.ac.jp/1579/00000113/
ロシア革命70周年とソ連の軍事政策(長谷川毅 1987年)
https://doi.org/10.5823/jarees1972.1987.1
アジア・中東動向年報 1982年版 孤立化脱却への模索ソ連のアジア・中東政策(佐久間 邦夫 1982年)
この他、日本語で読めるロシアの情報サイト、ロシア・ビヨンド(https://jp.rbth.com/)のソ連軍記事も参考にしています。
ところで、本筋とはそれますが、上に挙げた「いまさらですがソ連邦」の作者である漫画家の速水螺旋人氏は「日本のフィクションでソ連やロシアのキャラが登場することが増えました。90年代だと中華キャラが占めてた立ち位置にいる感です。」とのこと。
中華キャラが目立たなくなった理由は、現実世界における中国の変貌と連動しているのかもしれませんが、一方のロシアキャラが人気を博している理由は...謎です。
これまでのロシアキャラは「戦慣れしてそう」というイメージのもと「戦い」をテーマとする作品ではよく登場していましたが、近年はスポーツやアイドルに関連した作品にもロシアキャラの適用が進んでいるわけでして…
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コメント
特にU型以降の如何にも防御も攻撃も自信ある感じがいい
僭越ながら注文させていただけるなら、日頃の訓練や学習、試験、福利厚生と言った日常業務が気になります
日頃の机仕事や災害派遣の様な場面も、ソ連軍人に当てはめると中々絵が思い浮かばない
自分の知らない事をやるかも知れないから楽しみです。
ソ連砲兵は大好きです
ロシア美少女… 金髪枠で米英仏と比べて、おしゃべりすぎるイメージがないからでしょうか?
あるいは素朴、垢抜けなさとオタクカルチャーのコンボ?
1様
T-80U型は90年代の戦車というイメージがありましたが
ソ連時代には実在していたのですよね。
ただ、残念なことに上記に挙げた資料では
「ついにT-80が公開されたぞ」くらいの情報しかなく
T-80Uは完全に秘匿されていました。(涙
元GRUのスヴォーロフ(レズン)氏によると
ソ連の新型車両は敵方に「T-34ショック」を与えんがため
それが最新型でなくなるまでの間
現場の兵隊に触らせず、常にカバーで隠していたそうです。
訓練すら断片的にしかさせてもらえなかったそうで。
T-80Uもそうした戦車だったのかもしれません。
2様
ソ連将兵の日常については
「ソ連地上軍 兵器と戦術の全て」やスヴォーロフ氏の著作が
外地での様子は「アフガン侵攻 1979-89」が参考になりました。
平時のソ連軍も様々な問題を抱えていたようですが、
下士官の不足により
若手将校は日々の業務に忙殺されていたようです。
そのような状況もあって兵卒の管理は政治将校と分担していたのですが、
レクリエーションなどの実行権など、おいしい所を持って行いったのだそうです。
ただ、頼まれてもいないのに貴重な日曜日に運動会を開催するなど、
けっこう煙たがられる存在だったようですが。
3様
作戦術!
戦略と戦術の間にそのような概念が存在するのは
ソ連独自の考え方、だそうですね。
土地が広いから、でしょうか?
米ソの戦い方を比較するのも面白いかもしれません。
すいません!
上に書き忘れましたが、その本は既に持っていました。
最初にモスクワのパレードの配置図が挟まれている本ですよね?
BM-21が「恐怖の代名詞」だとも書かれていました。
5様
ソ連軍は「面白い」話題も多いのですが、
やはり世知辛い話も多いです。
またソ連軍定番の「アルコール」の話などは、
ちょっと前までは笑っていたのですが
日本の旅客パイロットのアルコール問題など
他人事として笑えない、話もあります。
辛気臭い記事にならないよう、注意したいところではあります。
6様
砲兵に関しては「ソ連地上軍 兵器と戦術の全て」が非常に詳しかったですね。
自衛隊の火砲の事は未だによくわかりませんが、
この本のおかげでソ連軍のことは理解できた(つもりに)なれました。
印象に残ったのが、「砲兵の一番の仕事は対戦車火器の排除」といった旨のソ連軍将校の言葉でした。
7様
赤軍時代からの変遷をたどるのは資料の問題でむずかしいのですが
50~80年代なら、なんとか解説できそうです。
ブレジネフ時代はソ連砲兵にとっての最良の時期だったようで、
68年から78年までの10年間で部隊配備の火砲は2倍になったそうです。
逆にフルシチョフの時代は火砲がかなり軽んじられており
ロケット砲はともかく、自走火砲の新規開発はストップしていました。
ところで、ロシア系のキャラというと
特に初回登場時に物憂げで厳しそうな様子をしている女性キャラクターが
好きです。
ただ作品が進行すると登場人物と打ち解けて丸くなり、
初期のイメージが失われてしまうのが逆に寂しいところ。
キャラクターにとってはそれが幸せのはずなのですが。
古い作品だとサクラ大戦のマリアさん、
最近だとラブライブのエリーチカ先輩が
そんな印象でした。
...両名とも純ロシア人ではないですけど。
遂に、自分はソ連記事を書けず仕舞いでしまので、楽しみにしております。
個人的にはソ連防空軍の役割と任務なんてどうかなと思いますが、資料がどれだけあるか、心配ではあるのです。
無理のない範囲で、楽しんで書いてください。
本職の軍人さん向けにミッチリ文章が書かれた本が4冊なので全部読むのは大変だけど、何か書くには細かいところまで網羅しているので色々と助けになるかもしれません。
個人的にはSAMSIMのゲームをやったりDocumentationを色々と読んでソ連の地対空ミサイルとか興味を持ってますな〜 ベトナムや中東に派遣された部隊の話とか面白そうです。
あとは日本に関係してSu-15やMiG-25のような独特な迎撃機を保有してちょくちょくと周辺国とトラブルを起こしたソ連防空軍、米帝の空母を撃沈するためにあんな兵器やこんな兵器を用意してたソ連海軍航空隊の内幕とかも気になりますw
最近色々と出てくるロシア人はアメリカ人やイギリス人では難しい美人なミステリアス枠な感じでしょうかね? 厳しい寒さと美人とウォッカという組み合わせはキャラを立たせるのに便利な要素が詰まっており作りやすいのだと感じますw
逆に中国人は下手に扱うと共産党政府からケチを付けられそうなので最近すっかりいなくなった感じ、これはこれで中国も損をしてるよな(´・ω・`)
そりゃーアニメにも引っ張りだこですよ!
個人的に現代のロシアにも通じるソ連邦最大の謎、「なぜロシア女性は30を越えた瞬間変貌するのか」が明かされる事を期待s(偏見
冗談は兎も角、ぼかぁロシアに行ったこと無いしあんまり知らない勢なんだけど、軍組織の装備体系を知る時は大体その国の国土構成の影響が大きいと思ってます。
なので冷戦を通してソ連の装備体系がどう変化したのか。
広大な国土を有するソ連が国防という観点からどう冷戦に対処しようと考えたのか、時系列に沿って装備の具体例から知りたいなぁ。
防空軍に関しては、それ専門の本は得られなかったのですが
断片的に詳しい資料があったので、それなりに情報は集まっている...と考えています。対空ミサイルの部隊などはベトナムや中東に軍事顧問の名目で派兵されていたので実戦などの話もそこそこあります。
ソ連というと現代戦史のなかでもやはり主役の国、楽しみが抑えられません。
さてソ連と言えばやはり縦深戦術ではないでしょうか。
トハチェフスキーから始まり、独ソ戦を経たそれが、冷戦真っ盛りにどのような形になっていたのか、ということを知ることが出来るととても嬉しいように思います。
投稿を楽しみに待っています。
何年か前に裁断破棄する教範に混じってたからパラ読みしたぐらいだからなぁ
陸軍全般についてお願いします
なんとなく、そんな気がしたワニ。
という話は横に置いて、地政学も頭の片隅に置いておいた方がいいと思うので、可能であれば冷戦期に書かれたコリン・グレイ「核時代の地政学」は読んでおいた方がいいと思うワニ。
ww2後のソ連海軍の艦隊計画やドクトリンに興味があるので、是非ご一考いただければ…
前回の空自繋がりで防空軍と空軍等の記事があれば嬉しいですな…
楽しみにしております
ワイもソ連海軍が気になるな…
WW2ではとても強力とは言えなかった海軍が、
冷戦下でどう世界最大の米海軍と渡りあおうとしてたのか…
P-15対艦ミサイルの実用化についてなんかも興味あります!
ロシア女性が変身してしまう件、あれは共産主義時代に冬場の栄養確保のため高カロリーのラードを常食せざるを得なかった頃の弊害で、現在では割と過去の話しだったりします。
経済がある程度安定した今日では若い頃のスタイルを保った女性が多いです。当然、日本にも加齢とともにふくよかになる女性がいるのと同程度にふくよかになる人もいますけど。
全てに返信しきれず恐縮です。
今回のアンケートで皆さまの興味の対象が
思いのほか多分野に渡ることがわかりました。
ただ、扱うジャンルが広いため、
概用等は簡略化し、実例を主軸に
マニアックな雑学の掘り起こしをメインにしたい、と思います。
また、赤軍時代や新生ロシアの記述に関しては
制作スピードの問題で、割愛の予定です。
全ての要望に答えるまでに何年かかるかはわかりませんが
気長にお付き合いいただければ幸いです。
今週いっぱいまで、この記事を閲覧していますので
ご要望ありましたら、ぜひお願いいたします。
自分も戦略と戦術の間にある「作戦」の概念について知りたいです。
軍事からは少し逸れてしまいますが、日大の乾一宇先生の「力の信奉者 ロシア」はソ連政治の流れを追うのには分かり易かったので、興味のある方は是非読んでみるといいかもです。
いつも楽しく拝見しています
少し目先を変えて、フィクションの中の愉快なソ連軍と事実とのギャップなどいかがでしょう?
古典なら007のロシアより愛を込めて、MSG3のフライングプラットフォームにオブイェークト、ランボーのハインド、レッドオクトーバーなど、長くフィクションでの魅力的な敵役として楽しませてくれたソ連軍と実態とのギャップなど、面白くないわけがない!かなと
米帝って言葉は冷戦勃発時に共産主義者がレッテル貼りに使用しだしたプロバガンダ用語なんだが知っていて使ってるのか?
日本共産党が暴力革命路線を一旦停止、梯子を外された過激派連中の新左翼組織の綱領に必ずあるのが「米国帝国主義」打倒ですよ
もっとも、現在の日本共産党綱領でも米帝打倒がありますが
そういう政治的レッテル用語を何故使う?
何かソ連の強いこだわりのようなものを感じます。
ソ連の事は世界の傑作機のバジャーとベアを持ってる程度で、正直あまり知らないので、どんなジャンルの話でも読みたいです。
「軍隊が、こんな建前やかっこ、ノルマだらけの組織になるわけがない!」と読んだ同時は思いました……。
なんというか、拡販キャンペーンやって、それを成功させる為に自社製品を買いまくる会社のような。
結局、組織、兵器などあらゆる面で、組織として扱いやすい数字優先というのが事実だった(過去形)のは、
現実と、冷静終わった後の他の本などではっきりしましたが……。
氏の他の著作を中古ですがw、アフガンのブレースウェート氏の本と一緒にぽちりました、期待してます!
Mig29やSu27の開発話で、現場技術者の努力(各開発局間の競争もある)や東西を問わない技術馬〇がいることが嬉しかったり!
僕は『ライドンキング』のアレクサンドル・プルチノフちゃん!
80年代のラブコメ全盛期に中華キャラが残した強烈な印象(『らんま1/2』のシャンプーとか、ヒロインの座を文字通り強奪した『究極!!変態仮面』の四季春夏とか)を思うと、中華キャラの位置にロシアキャラが来ているという速水先生の言には今一つ首肯しかねるものが…(あと90年代の中華キャラというと、CCさくらの小狼と苺鈴、バキの烈海王くらいしか思い付かない)。
とりあえず革命期から大祖国戦争終結までの通史をざっと把握するなら、歴史群像ムックの『ソ連赤軍興亡史』全3巻。
あとソ連というより冷戦史だけど、古峰文三氏のブログ記事の『幻の東部戦線』が面白かったのに、未完&削除で見られなくなってしまって残念なことに…(ただオチまで含めてざっくり短くまとめたものが、歴史群像の2013年2月号に『幻のパリ侵攻』の題で掲載されていたり)。
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