入間基地航空祭2018


文・写真:nona

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 去る2018年11月3日、晴れ渡る青空の下で開催された入間基地航空祭を見学して参りました。

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 入間基地は埼玉県の狭山市と入間市の境に設けられた航空自衛隊の航空基地であり、中部航空方面隊司令部および防空指令所(DC)、第一高射群司令部が置かれています。

 入間基地の航空祭は11月3日「文化の日」の開催が通例となっており、今年は19万人の観客が訪れました。

 
航空祭の目玉は午後のブルーインパルスによる飛行展示ですが、午前中は入間基地の配備機による趣向を凝らした展示飛行が披露されます。特にT-4練習機やC-1輸送機のフライトはブルーインパルスに負けない魅力があります。

 また、今年は基地創設60周年で(旧軍時代から数えれば80周年ですが)これを記念塗装のC-1輸送機などの展示物もいくつか公開されました。

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 ただし、今回の航空祭では修武台記念館の周辺への立ち入りが制限され、常設展示の退役機は見学できませんでした。2015年に見学した時は奥まで歩いて行けたのですが。

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 2015年といえば、西武線の踏切手前にDJ自衛官がいらっしゃいました。今年はいませんでしたが、元ネタのDJポリスは今年もハロウィン期間中の渋谷に出動したようです。

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 写真中央奥のビルは狭山市役所です。狭山市は夏に航空祭の屋上観覧権を「ふるさと返礼」として売りに出していました。

 入場に必要な寄付金額は屋上で50000円以上の上「寄附金は、如何なる理由があろうとも、一切返金いたしません。」「荒天等で航空祭が中止になった場合も返金いたしません。」など強気な商売(?)でしたが、どうやら完売した模様です。

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 空挺降下の展示に先立ち、格納庫では13式空挺傘の装着の模様が展示されています。

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 宮城県の松島基地から飛来したF-2B戦闘機。機体番号は23-8111。この機は2011年の津波で被災したしたようですが、何とか修復できたようです。

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 石川県の小松基地から飛来したF-15J戦闘機。機体番号は12-8803。機体番号の読み方が正しければ1981年に受領したF-15Jの3号機、ということになります。古い。

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 鳥取県の美保基地から飛来したC-2輸送機。美保基地の第3輸送航空隊では運用機をC-2へ転換しており、(作戦機として)C-1を運用しているのは入間基地の第2輸送航空隊だけです。

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 関東では見られない(空自の)E-2C早期警戒機。昨年から実施されているプロペラの換装改修をうけた機体のようです。まるで米軍機のようですが。
(この他の地上展示機については割愛いたします)

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 逆光で映りが悪いU-4多用途支援機とT-4練習機。いずれも入間基地の配備機です。
 U-4はガルフストリームⅣ型ビジネスジェット機と同型で、要人を含む人員や小型貨物の輸送連絡に使用されます。
 T-4は航空総隊司令部の支援飛行隊所に属する機体であり、多用途機としての運用の他、地上勤務のパイロットが実施する年次飛行で使用されます。

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 一部のT-4は視認性を高めた「レッド・ドルフィン」塗装が施されています。

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 YS-11FC飛行点検機。自衛隊航空基地の無線誘導機能の点検を任務とする機体で、現在2機が運用されています。後継機としてセスナ・サイテーション860A型ビジネスジェットが選定されており、2020年頃に交代の予定です。

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 入間基地には電子戦支援機のYS-11EAや電子飛行測定機YS-11EBも配備されていますが、これらの後継にはどんな機体が選ばれるのでしょうか。

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 こちらも飛行点検機のU-125。配備当初は3機体制でしたが、2016年の事故で1機を喪失。2機に減勢しており、その補填として前述のサイテーションが導入される予定です。

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 救難飛行隊のUH-60J。写真の機体番号98-4588は空中受油プローブが初めて追加された機体です。かつてのUH-60Jは機体下面がオレンジ色の派手な機体でしたが、後にCSAR (戦闘捜索救難)を想定した洋上迷彩が施され、この機体のようにチャフおよびフレアディスペンサーが搭載されています。

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 同じく救難飛行隊のU-125救難捜索機。機種下面の捜索レーダーと赤外線監視装置を駆使し、洋上あるいは山岳地域で遭難者を捜索、バディを組むUH-60Jを誘導します。

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 空中放水を展示するCH-47J。この機体は従来のJ型から各種能力向上が施された他、燃料タンクの拡大で航続距離も延伸されており、CJ-47J LR(ロングレンジ)とも呼ばれます。

 ちなみにCH-47Jを運用する空自のヘリコプター輸送隊は、航空救難団(本部は入間基地)隷下にあります。確かにCH-47Jも救難活動に対応できますが、空自では救難団だけがヘリコプターを運用するため、効率の観点から、そのような組織系統となったそうです。

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 第2輸送航空隊のC-1輸送機。前述のとおり美保基地ではC-1の運用を終えており、作戦機としてC-1を運用するのは入間基地だけとなりました。(岐阜基地にも試験用のC-1がありますが)

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 こちらは入間基地の創設60周年を記念した特別塗装のC-1。第2輸送航空隊の「弐」と、歌舞伎の「隈取」が意匠に採用されています。

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 特別塗装機によるアクロバット飛行。貨物を搭載していないためか、機体を大きく傾けています。

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 通常塗装の1機からは空挺降下が実施されました。

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 使用された13式空挺傘はパラシュート同士が接触してもつぶれにくいため、短間隔での降下が可能です。この利点を活かすためか、空挺隊員はC-1の左右両方のドアからほぼ同時に飛び出していました。

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 支援飛行隊のT-4は編隊で離陸。操縦桿を握るのは普段地上で勤務する元戦闘機乗り。場内アナウンスはT-4編隊を「シルバーインパルス」と呼んでいます。

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 こちらは「ブルー」インパルス。

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 2機のT-4でハートを描き、3機目のT-4がそれを射抜くキューピッド...

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 .......

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 今回はハートと矢を描ききれずに終わりました。理由は不明ですが、そういうこともあるようですね。

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おまけ
「スネーク、なんだそのフェイスペイントは?」
「カブキだ」
「カブキ?」
「ああ。ニッポンの伝統的な演舞に用いられるらしい。なんでもこのフェイスペイントをすると神秘の力が宿るとか......。」
「本当か?」
「そう聞いた。」
「誰から?」
「パラメディックだ。」
「なるほど。それはいいが、そいつには偽装効果はあまりないようだが......。」
「そうか?」
「ああ。ほかのフェイスペイントに変えた方がいい。」
「結構気に入っているんだがな......。」
「......。」